2009年9月12日土曜日

ジーターが安打数でゲーリッグを越えた~それでもヤンキースの伝説的な打者という実感が湧かないのは何故?~

ディレク・ジーターがルー・ゲーリッグの持つヤンキース最多安打の記録を塗り替えた。
2,722本目は一塁手の脇を抜く彼らしい右方向の打球だった。
一塁に到達したジーターに雨具に身を包んだスタンドのファンはスタンディング・オベーション。
チームメイトが駆け寄りひとりひとりとハグをした。
いつも饒舌なマイケル・ケイもここは沈黙が金であることを知っていた。
遠慮深い松井は最後に抱き合った。
今日は2001年の9.11に因んで赤いキャップが義務付けられていたが、
それが誰よりも似合わないことを知っている松井はかぶっていなかった。

偉大な瞬間を演じたジーターの顔は普段に増して凛々しい。
しかしこの記録更新で将来ジーターがヤンキースの歴史で伝説的な打者として語り継がれるかと言うと
そういう実感が何故か湧かないのだ。

ZIPHITなんて怪しげな商品の通販のCMに出ているからだな・・・(>_<)

恐らく最大の理由はジーターをリアルタイムで見ているせいだと思う。
ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグをはじめミッキー・マントル、ジョー・ディマジオは
リアルタイムでプレイを見ていない。
白黒のフィルムや映画化された中で既に伝説化された存在となっているのだ。

ジーターが‘大打者’という印象が無いのは長打が少ないからだろう。
ホームランと打点では歴代10位に過ぎないし、SLGでは30位だ。

ジーターの初グランドスラムが‘難産’だったのは有名な話だ。
2005年に‘136度目の正直’に恵まれたが、それ以来2本目が生まれていない。
じゃあ、満塁で弱いかと思いきや打率は3割5分ぐらいあるから鬼と言ってもいい。

私は2003年以降なら誰にも負けないくらいヤンキースを追いかけているが、
それ以前、特に90年代後半の4度のワールドシリーズ制覇を知っている人達の
ジーターの印象は異なるかもしれないと思っていた。

ところがそうでもないらしい。
YESがこの前やっていたジーターの印象深いシーン4択アンケート。
ダントツの1位(44%)は2004年のBOS戦でファウルボールを追いかけて
内野スタンドにダイブしたプレイだった。
ジーターの真似をして顔にバンドエイドを貼った少年の姿を覚えている人も多いだろう。

同様のアンケートをDailyNewsが6択でやっていたが1位を分け合っていたのは、
あのダイブと2001年のALDS(対OAK戦)で見せた絶妙な中継プレイだった。
どちらも打者としてのジーターではないのだ。


What is your favorite Derek Jeter moment?

The Jeffrey Maier home run 3%
Winning the 2000 World Series MVP award vs. the Mets 9%
The flip play vs. the A's in the 2001 ALDS 37%
His Mr. November blast in the 2001 World Series 11%
Being named 11th Yankee captain in 2003 4%
His dive into the stands against the Red Sox in 2004 36%


ジーターはヤンキースの歴史の中でどう位置づけられるのか。
或るヤンキース番記者の個人的ランクでは6番目になっている。

The list of greatest Yankees

1. Babe Ruth
2. Lou Gehrig
3. Joe DiMaggio
4. Mickey Mantle
5. Yogi Berra
6. Derek Jeter
7. Whitey Ford
8. Mariano Rivera
9. Bill Dickey
10. Lefty Gomez


これに関するコメントを見ても、1~5に関しては異論が殆んど無い。
実際あと100年経っても変わらないのかもしれない。
伝説は時の経過とともにさらに伝説化が進むからだ。
6位以下についてはBernie WilliamsやDon Mattinglyを推す人もいるし、
あと将来的にはJorge Posadaも入ってくるのではと予想する向きもあった。
まあこのランキングに私が口を挟む資格は無い。

ジーターに関して私の個人的な印象は‘The Great Yankees’ Captain’だ。
数多くの大物選手が来てはいなくなるチームの中で見事なリーダーシップを発揮していると思う。
色々なコメントを聞いてもウィットに富み如才無い。
ユーモアのセンスも持ち合わせている。

Derek is a team guy.

チームの勝利こそが最優先という姿勢にブレが無い。
だから他の個性の強いチームメイトにも受け入れられ、数多くのファンからも愛される。

2009年のジーターにとって今日の個人記録達成は大きな意味を持つことは確かだが、
彼の本望はキャプテン就任以来一度も手にしていないチャンピオン・リングにあることは
言うまでもないだろう。

松井が何かいいことをしてベンチに戻ると、ジーターが頭をナデナデしてくれる光景を見るのが好きだ。
それが来年以降見られなくなると思うとやはりそれはそれで淋しい。

2009年9月10日木曜日

野球選手に‘クラッチ’は最高の賛辞~松井秀喜が8月のMLB Clutch Performerに選ばれたぞ~

ヤンキースの松井秀喜が"Major League Baseball Clutch Performer of the Month Presented by Pepsi" for Augustに選ばれた。
何とも長たらしい名前の賞だ。
今日はNHKの中継で観ていたが、イニング間に否応なく聞こえてきた主音声では、
失格解説者高橋直樹が不勉強を露呈していた。
あれだけ論議を呼んだ‘ニュー・ジョバ・ルール’についても詳細を知らないのには驚かされた。
この賞についても‘初耳’と抜かしていたが2007年から始まっている。
月間賞と年間賞がある。
月間賞は両リーグ合わせた30チームの中から6人の候補者がノミネートされ、
その中からファンがオンライン投票で選ぶ。
当選するのはオンリー・ワンだからまさにMLBのベストということになる。

8月の候補者は以下の6人だった。


Hideki Matsui, OF, Yankees: After a lukewarm first half of the season, Godzilla reemerged in August, dialing in eight jacks and plating 25 runs. Four of those dingers came in an Aug. 21-23 series at Fenway Park against the Red Sox. Of course, any big-time effort notched under the spotlight of Yankees-Red Sox is immediate grounds for clutch consideration. In addition to that heavy hacking against his team's arch-rival, Matsui was even more fearsome in close-and-late situations, batting a staggering .400 with two homers and four ribbies in those moments. As if that wasn't enough, he became the first Bomber since Mickey Mantle in 1966 to rack up three multi-homer performances in a seven-game stretch, adding an historical twist to an undeniably clutch month.

Miguel Cabrera, 1B, Tigers: Finished the month with a .343 average, seven long balls, 25 RBIs and a .611 slugging percentage.

Kendry Morales, 1B, Angels: Had a red-hot August batting .576 with runners in scoring position while collecting 27 RBIs.

Carlos Pena, 1B, Rays: Hit 12 homers with 29 RBIs and a .685 slugging percentage last month. Delivered a walk-off single on August 22 to beat the Rangers.

Ubaldo Jimenez, SP, Rockies: Won five of his six outings in August while posting a 1.77 ERA - including a must-win Aug. 23 start against Tim Lincecum and the Giants.

Cliff Lee, SP, Phillies: The southpaw is 5-1 with a 1.80 ERA and 44 strikeouts against only six walks over 45 innings of work since joining the National League.


野手4人の比較でいえば数字だけを見るとやや微妙だが松井が‘勝者’になった。
3度のマルチHR,特にフェンウェイでの爆発はインパクトがあったのだろう。

過去に何度も書いたが私は松井秀喜が‘clutch hitter’と呼ばれるのが、
彼のファンとして最も快感であり、誇りでもある。
この感覚は‘記録の王’より‘記憶の長嶋’の方を圧倒的に好きだったことに通じる。
ここ一番のチャンスで打つ、これぞピンチという難局を切り抜ける。
野球選手に‘クラッチ’は最高の賛辞だ。

かつて松井秀喜はアンケートで‘ワールドシリーズの最終戦、9回2アウト一打同点・逆転のシチュエーションで打席に立たせたい打者ナンバー・ワン’になったことがある。
その後は怪我を含め劣化したのは否めないが、今年まさにその舞台が現実化する可能性がある。
そしてそこで結果を出す松井の姿を夢見る。

ここをみると過去のMLB Clutch Performerが見られる。
受賞者はヤンキースの選手が圧倒的に多い。
ファン投票で決まるから全国区の強みを発揮するのだろうか。
日本からも投票できる。
今回は私も参加した。
1度クリックして、試しに2度目をしてみた。
どうカウントされるかは別にして特に警告も無く受け付けられた。
この受賞には私の‘清き2票?’も貢献している。

因みに完全な無駄知識だが、ヤンキースのブルペンに実力的にも名前的にも
この賞に最も縁遠いPhil COKEというレフティがいるが、彼はPEPSIを愛飲しているそうだ。

2009年9月9日水曜日

ディレック・ジーターのデビュー戦は?その夜父子で食べたのは?初ヒットを打った時の一塁手は?

今のヤンキースにはふたつの‘時間の問題’がある。
ひとつはチームの地区優勝、もうひとつはジーターの安打数でのルー・ゲーリック越えだ。
ジーターはあと4本のヒットでヤンキースの歴代安打数でトップになる。
昨日はレイバー・ディのダブルヘッダーで大いに期待がかかった。
お馴染の両親の他に一部で婚約騒動があったガールフレンドのMinka Kellyさんも観戦していた。
チームは2試合とも勝利したが‘肝心’のジーターはノー・ヒット。
一面も‘EVERYBODY HITS…exept Jeter’

今日のヤンスタにはティノ・マルティネスの姿があった。
このブログの常連(女性)さんにもファンがいるが相変わらずのイケメンだ。
そこでニューヨーク・タイムズの記事で読んだことを思い出し、
‘今日のトリヴィア’として久々にブログでも書こうと思った。

が、さすがYESである。
しっかりとその映像を流されてネタバレされてしまった・・・(-_-;)

でも見逃した人もいると思うし他にも‘因縁’があったので今日のタイトル通りに
書くことにした。

ジーターがデビューしたのは1995年5月29日、場所はシアトル、相手はマリナーズだった。
ジーター・パパは朝3時に起きて急きょミシガンから駆けつけたそうだ。
結果は5タコ。
試合は延長戦に突入し、ランナーを3塁に置いて一打勝ち越しのチャンスもあったが三振。
試合後、親子で食べたのはMcDonald’sだった。
本人は他に開いているところが無かったと‘言い訳’をしているが、今のジーターでは考えられないことだ。

20歳のルーキーがデビュー戦でタコって父と子でマックで食事をする。
そのチープ感や哀愁が逆に素敵だ。

翌日の試合、通算7打席目で三遊間に初ヒットを放った。
1塁に辿り着いたジーターに一塁手のティノ・マルティネスが言葉を掛けた。

‘the first of many hits’

この段階でティノが翌年にはジーターとチームメイトになるとは思っていなかっただろう。
そしてその‘many’が自分の成績を遥かに上回るとは想像できなかったに違いない。
ティノは通算安打1925本、ヤンキーとしては1039本だ。

さて、今でも親交の深いティノが観戦していたのはそのものズバリだが、
他にも‘因縁’があった。
ヤンスタのバックネット下の回転式の看板がMcDonald’sだった。

そしてマリナーズにも因縁が・・・。
NHKともあろうものが9回2-2のヤンキース戦の中継を終了し、
マリナーズ戦に切り替えるという暴挙に出たのだ。
まるで第1打席で5本のヒットを‘まとめ打ち’されたら大変といった感じだった。

私は直ぐMLB.tvを起動させ、便利屋スウィッシャーがこの日2本目となるHRを放ち、
ラッキー13となるサヨナラ勝ちを収めるのを拝めたが、
NHKのやり方に不満を感じた真のメジャーファンも多いだろう。

ジーターはこの試合3三振を喫し、今季自己ワーストの連続12タコとなった。
驚くべきことだが彼らしくなく試合後の取材に応じなかったらしい。

冒頭で‘時間の問題’と書いたが、まさかもうひとつの方が
先に達成されたりするようなことは無いよね。