2008年12月25日木曜日

本物を知っている者の‘弱み’~人工キャビア‘キャビアンヌ’のお陰で白けた‘ホワイト・クリスマス’~

私はプロフにも書いてあるように大の魚卵好きだ。
魚卵の王様と言えば勿論世界三大珍味のひとつチョウザメの卵、キャヴィアだ。
昔から値段的には手強かったが、乱獲防止のためのワシントン条約発動で益々希少なものとなった。

今年は6月にいつも買っているショップでベルーガの50gを1個、20gを2個購入して
それを2度に分けて食べただけだ。

かつてはもっと頻繁に食べていたし息子にも食べさせていたが、今は未成年者禁止措置を取っている。

50gはまだいいが、20gをおとな2人でシェアするのは何とも食べ応えが無い。
だったら同じような値段で入手可能なバフンウニ250gの方がはるかに喰った気がする。
だからバフンウニは結構な頻度で食べた。

このままでいくと、2008年はもうキャヴィア無しかなと思っていたが、
今月の初めにいつものショップが珍しいことにオークションを行ったのだ。

いつも食べているロシア産のキャヴィア、ベルーガ20gの1ダースだ。
このロシア産は相場的には最も安い部類だが1ダースとなると1個売り(4687円)より
割安とはいえ定価で46,900円する。
まあ、入手不可能のイラン産だと50gでそれ以上するけどね・・・(^。^)

‘合格者’はたったの1名だ。

12個の瓶が並べられている写真にも惹かれて入札することにした。
考えてみると今年は本当に金を遣っていない。
我が家の最大の買い物は以前中国製だったと紹介したパナソニックの食器洗い機の6万3千円。
ワンタイムの出費としては息子の修学旅行の8万が最大だ。

もし落札できた時のブログネタのタイトルが頭に浮かんだ。

キャヴィア1ダースを落札したのが今年最大の贅沢なのは実は淋しくないか?

落札したいがディーラー心理としてはすっ高値も嫌だ。
キャヴィアの2時間前に終了した別の商品の落札額を参考にして
事前に想定していた金額より低めの3万6663円で入札した。
この‘666’がまさにオーメンとなってしまった。
落札者は3万7015円、その差額は4百円足らずだ。

入札者が42名と少ないことから推察するに恐らく次点だったろう。
4万円台だったら諦めもつくがこの差だと取り返しのつかない無念さに襲われた。
こうなると人間の心理は単純だ、どこかで歪むのだ。
その後通常販売でポイント10倍になってももはや買う気はしない。
先月末に食べたばかりなのにまたバフンウニを注文したりする。

いやぁ、ウニの250gだと酒のつまみで2回、ウニ・イクラ丼で1回と楽しめるからいいねぇ~
とか必要以上にバフンウニの肩を持ったりするから面白い。

しかし今回は更に滑稽な行動に走ってしまったのだ。

クリスマスが近づきやはりキャヴィアへの思いが自然に募ったが、
そこで‘キャビアンヌ’という人工キャビアを発見してしまったのだ。

私は一切知らなかったがググってみると今年それなりに話題になったらしい。
テレビでも2度取り上げられ活字媒体の中にはAFPも含まれていたから世界に配信されたかもしれない。

50gで1260円、5000円出すとなんと350gも手に入る。

流石に得体の知れないものをいきなり350g買う気はしなかったが、50gの瓶を購入した。

そしてクリスマス・イブを迎えた。
テーブルの中央に鎮座する50gの瓶といつものキャヴィア専用の小匙。
この日の出番を待って半年間冷凍庫の中で凍死寸前になっていたウオッカ。

年齢とともにクリスマスそれ自体のイベントで胸が高鳴ることは無くなったが、
このキャヴィアを含む光景には少し心が躍った。

蓋を開けて小匙でグィ~ンと口に運んだ。
キャヴィアの醍醐味は何にも載せずそのまま食すこと、それが俺流だ。
普段20g瓶だと遠慮がちなかみさんも今回は小匙でグィ~ン。

ダメだ!
皮が硬過ぎて食感が全然違う、生臭さが足りない。
私は大きくため息をつきながらこう言った。

本物を知ってる者の‘弱み’だな・・・(-_-;)

彼女も頷きながらその‘修辞’に納得の表情をした。
結局半分近くを残して次はパスタで‘粉飾’しようということになった。

メインの骨付きラムはそこそこの出来だったが、スターターの躓きは致命的。

ナンチャッテ・キャヴィアで白けたクリスマス・イブ
これも或る意味‘ホワイト・クリスマス’だな・・・(-_-;)

この開発者兼社長はマスコミ相手に‘過去に3回ほど食べたカスピ海のキャビアが
非常においしかったため、その味を思い出しながらキャビアンヌを開発した’と語ったそうだ。

たった3回かよ・・・(-_-;)

私はシンガポール在住時に高級食材‘燕の巣’の料理を20~30回は食していると思うが、
その味を思い出すことなんて到底無理だし、人工の物があったとしても判別できる自信は無い。
もっとも美味いと感じたことも殆ど無かったが・・・。

キャビアンヌのセールスポイントとして‘低カロリー’を謳っているのも笑える。

本物のキャヴィアは100g当たり230kcalもあるって言われても、
ポテトチップじゃあるまいし、100gも一気に食べられる人なんて世の中超一握りの人だけですから・・・。

死因はキャヴィアの食べ過ぎとか言われてみたいぜ・・・(>_<)

偽キャヴィアのせいで、今は激しく本物のキャヴィアを食べたくなっている。
私は昔から‘大ハズレ’の蕎麦屋とか鮨屋に遭遇すると、その翌日知っている
‘アタリ’の店に行って‘口直し’をしたくなる癖があった。

考えてみると、オークションなんて無ければ素直に1万払って
本物のキャヴィアでクリスマス・ディナーを楽しんでいたんだろう。
いや、オークションの落札がどう惜しくてもそうするのが王道だと気付くべきだったのだろう。

先月またひとつ歳を重ねたが大人になれないまま単にジジイになっていく感じだ。

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