2008年2月21日木曜日

日本振興銀行10年定期2.1%~預金者が死んだら?銀行が破綻したら?~

それは先月のことだ。
私は例の大腸癌疑惑に揺れていた頃だ。
振興銀行に電話した。

‘御行の10年定期に興味があるんですが、余命が10年あるかどうか怪しい者です。
預金者が死亡した場合は中途解約か相続人への名義変更ができますよね。’

担当者は余りにも‘単刀直入’な質問にグサっとやられた感じだったが、
健康状態について説明すると直ぐに納得した様子でこう答えた。

‘当行の場合システム上の問題で名義変更はできません。
中途解約になりますが解約日まで約定金利で計算した利息を支払います。’

‘へぇ~、すると例えば1年でも2%(当時の10年もの金利)が適用になるんですね。
これは安心して死ねますね(笑)’

そうなのだ。
現在の円金利は期間が長いほど金利が高い順イールドだから、
10年の金利が適用になれば短いほどお得感がある。
このやり方は知っている限りでは振興だけで、ひとつの‘ウリ’と言ってもいいだろう。

1000万預けて9年目、規定の中途解約利率とこの死亡者特例の利率の差は143万にもなる。

安心して死ねると書いたが、相続人の態度も違いそうだ。

‘あなた~~、死なないで~~~、死ぬなら満期日の後にして~~~’が
‘まあ、仕方がないわね、運命には逆らえないわ’となる・・・(^O^)/

もし相続人が既に自分名義の預金をしていると、名義変更によって相続した分も加算されて、
預金保険の限度額を超えてしまうこともあるから、それを回避できる点でも歓迎すべき方式だ。

‘ところで逆に私が逝く前に、
御行が不幸にも先に逝った場合の預金の取り扱いはどうなるのですか?’

先方は私の質問に別にムッとした様子もなく
‘それは預金保険機構に聞かれたほうがよろしいと思います’

確かにそうだ。
そこで早速電話してみた。

元本1,000万円までとその利息が保護対象になるのは誰でも知っているが、
実際破綻した場合適用金利を含めてどういう取扱いになるか。

要約するとこんな感じだ。

保険適用の方法は二つあるが金融庁のお勧めは資金援助方式で、今までの破綻処理は
すべてこの方式で行われてきたし、今後も可能な限りその方針でいくと思われる。
金融機能の停止が最小限で済むからだ。

この場合は、定期預金は受け皿銀行に譲渡され、当初の約定金利、満期日が有効になる。

つまり預入先の銀行が変わるだけで、定期預金自体はそのまま生きる。

保険適用のもうひとつは保険金支払い方式と呼ばれているが、
これは預金保険機構が直接預金者に保険金として支払う。

この場合は約定金利が適用されて、それまでの経過利息が元本とともに支払われる。

何れにせよ預金保険の適用範囲内で預けていれば当初の約定金利分の利息も保護される。

思い起こせば、私は東京協和、安全、コスモの‘虎ノ門御三家’が破綻した時に
定期預金を預けていた。
満期日を待たなくてはならなかったが、元利金全額無事に戻ってきた。

連中の金利設定は他行に較べ1~2%高めだったために、
全額保護にはモラルハザードの観点から批判する向きもあったが・・・。

今はペイオフが解禁になったが、逆に制度化によって保護の内容が明確になった。

世間で優良と思われている金融機関であっても、10年預けるとしたら絶対に
預保の範囲内にとどめるべきだ。

株や社債なら紙屑になっても仕方がないが、定期預金をする最も安全志向の人間が
冒すリスクではない。

ましてや振興銀行の場合は1秒でも1円でも超えてはいけない、と言うのが私見だ。

新銀行東京は石原銀行、振興は元日銀マンの木村剛との絡みで木村銀行と呼ばれている。
両行とも零細・中小企業向けに銀行と商工ローンの中間の金利で貸し出しを行っている。

木村の方は年々赤字幅を縮小させているが、石原の方は累積赤字が1000億に達して、
東京都に400億の追加出資を要請し大幅な業務縮小を行う。

ビジネスモデルが似ているから気になる。

振興銀行は通帳も証書も発行しない。
ネット専業銀行もそうだが、残高はネット上で確認できるから一応安心できる。
振興の場合はネットバンキングもやっていないから、社判を押した1枚の契約書が届くだけだ。

最初に資金を振り込む時も、自分の口座ではなく受取人が振興銀行本体だから
振り込み詐欺チックに感じてしまう人もいるかもしれない。
証券会社では一般的だが銀行では珍しい。

高金利をエンジョイするためにはそれなりの不安もあるってことで・・・(^。^)

因みに500万以上か5年、10年ものの定期預金を作り、契約書に同封されている申し込み用紙を
FAXで送ると、‘ファイナンシャル・ジャパン’という月刊の経済誌を1年間無料購読できる。

1冊1000円するらしい。
1000円の価値は認めないが無料だと思えば十分に読み応えがある。

2回にわたって日本振興銀行の定期預金について書いたが紹介するのが目的で
別に推奨する意図はない。
当然のことながら作成にあたっては自己責任でよろしく・・・(^。^)

なお借名と看做される怖れのある家族名義(特に無収入の子供)の預金は、
破綻時に合算されるリスクがあるのでご注意を・・・。

2008年2月19日火曜日

日本振興銀行10年定期2.1%~金利予測なんてできないからこそやってみる?~

日本振興銀行の定期預金が極めて高金利だ。
3月末までのキャンペーンだが、

1年1.3%、3年1.5%、5年1.7%、10年2.1%

目を引くのはビッグ・フィギュアが‘2’の10年ものだ。

10年の定期預金を作るにあたっては様々な不確定要素がある。

だから多くの人は高金利であることを承知しながらなかなか踏み切れない。

先ずは金利の見通しだ。
確かに現時点では2%台というのは魅力的だが、10年という期間で考えた時
果たしてそれが吉と出るかどうかという問題だ。
1年ごとに運用した方が最終的には平均でもっと有利になるかもしれない。

恐らく日銀の福井総裁は自分が退任する3月には金利を‘常識的な水準’に戻して
‘花道’を飾る腹積もりだったろう。

2006年の夏にゼロ金利に決別した時点で、最低でも無担翌日物を1%レヴェルに
したかったに違いない。

それが昨年来のサブプライムローン問題の深刻化に伴い実現不可能となった。

次の利上げが遠のいただけではなく、場合によっては次の一手は
利下げになる可能性さえ出てきた。

ところで、どっかのキレやすい知事ではないがエコノミストの‘机上の空論’ほど
当てにならないものは無い。

私はディーラー時代もエコノミストに対する嫌悪感は強かった。

こちとら体を張ってポジション張って四六時中、損益のリスクに晒されているのに
連中ときたら、その多くが‘外れる予想をするための分析’をして報酬を得ている。

一応プロでも外しまくりだから、これから10年間の金利予測なんて
出来る筈がないと考えればよいのだ。

‘わからないからやらない’基本的にはこれは立派な見識だ。

しかし定期預金の場合、金利動向でいえば‘上か下か横ばいか’しかない。

金利がこのまま低水準で長期化する可能性も否定できないなら
‘わからないからやっておく’というのも‘アリ’だろう。

10年の2.1%がいかに高いか。
マーケットベースで言えば10年国債の利回りが1.4%台、金利スワップ市場では1.6%台だ。

他行との比較で言えば、そもそも10年定期を扱っていないところも多いが
メガバンクでは0.9%、ネット専業で1%チョットという感じだ。

勿論この10年物を‘一点買い’するのは危険、それぞれの判断や事情で
その割合を考えればいいのでは・・・。

因みに元本300万で税引き後の利息が約50万になる。

まあ、なりぽん家の資産は一説には‘東京ドーム3個分’とも言われているから、
レフト松井の守備範囲ぐらいはやってもいいかな・・・(^。^)

ナヌッ、松井はDH専門になるから守備範囲は‘ゼロ’だって・・・(>_<)

今日はとりあえず、知名度の低いこの銀行の高金利定期の紹介にとどめるが、
これだとナリポン的には物足りない情報だ。

次回は預けた後10年間に起こりうるリスクについて、
この銀行独自のメリット?についても触れながら書く予定だ。

2008年2月7日木曜日

早期発見・早期治療は王道~便潜血検査は陰性だったのに何故内視鏡検査を決意したのか~

放置していれば確実に癌化していた大腸ポリープを発見しそれを切除して、
将来致命的になっていたかもしれないリスクを回避することができた。

これは大腸の内視鏡検査を行ったお陰だ。

実はその10ヶ月前には便潜血検査という方法の検査を受けていた。
時折血便の症状があったからだ。
結果は‘陰性’だった。

普通はその結果に満足してしまい、もう何もしない。
未体験の面倒臭そうな内視鏡検査を受けようとは考えない。
結果が‘陽性’でも受けたがらない人がいるほどだ。

それなのに何故検査を決意したか。
頻度はたいしたことは無いが相変わらず血便の症状があったのは事実だ。
ただ私は例のワーファリンという血を止まりにくくする薬を服用しているから、
歯を磨いただけで出血したり、簡単に目が充血したりする。

‘血も滴るイイ男’だから仕方がない・・・(>_<)

それだけの症状で別に痛くも苦しくもないから‘尻に火が付く’状況ではない。

では何が動機づけになったのか。

‘グレイズ・アナトミー’と‘リ・ジェネシス’だ。

なんじゃ、それ?

と言う人が大半かもしれない

どちらも海外のテレビドラマだ。
前者は外科インターン達を描いたアメリカの医療ドラマ。
後者はバイオ犯罪捜査を扱ったカナダのドラマだ。

細かい台詞や場面は忘れてしまったが‘DNAがすべてを決定する’という内容の話が
しきりに出てくるのである。
病気もそうだし性格も全部DNAで決まるというのだ。

別に‘DNA万能説’を‘妄信’する訳でも‘洗脳’された訳でもない。
ただ両親を癌で亡くしている私は自分も癌にやられるのではないかと
妙な‘現実感’を覚えたのだ。

それが内視鏡検査を申し込もうと思った直接的なきっかけだ。

ドラマを観ていなかったら恐らく行動しなかったと思う。

あとは到る所で目や耳にした大腸癌に関する情報にも背中を押されたかもしれない。
日本人が罹る癌の中でいま最も‘旬’なのだ。

既に日本人女性の癌死亡原因のトップになっていて、
2015年には国民の癌死亡原因の1位になると言われている。

相場の世界じゃないが‘The trend is your friend.’
確実に右肩上がりのトレンドには‘敬意’を払うべきだ。

そこで大腸と胃の内視鏡検査を同時期に実施した。
実は胃がそうであったように大腸の方も‘異常なし’の確認をするだけだと思っていた。

まあ結果的には‘異常あり’だったが、この早期発見が見事に奏功したことになる。

今振り返っても何故ドラマを観ただけで、まるで‘魔がさした’ように検査をしようと思ったのか、
自分でもわからない部分もある。

直観力みたいなものでもあったのか・・・(^。^)

松井秀喜のビッグ・ファンとしては、松井の膝の内視鏡手術に‘触発’されたとでも書けば
‘絵になる’が、さすがにそれは無い。

因みに内視鏡でポリープを切除する時の方法は‘ポリペクトミー’と呼ばれるが、
‘グレイズ・アナトミー’と‘リ・ジェネシス’‘合わせ技’にチョッとサウンドが似てる・・・(^。^)

2008年2月3日日曜日

さあ、病理検査結果はどうフェイタルか~シロかクロか灰色か~

予想外に早いタイミングで無事手術を終えたのを素直にラッキーと思いながらも
いざそれが叶うと次が気になって仕方がない。

ポリープを切除することは大事だがそれ以上にフェイタルなのは
こいつがどう蝕んでいるかという病理的な分析結果だ。

私が集めた情報では、この病院の場合10日から2週間で結果が出るらしい。
ところが私の担当医は週に1回しか外来の診察を受け持っておらず、13日後の23日では
結果が出ていない可能性があるとのこと。
そこで念のために1週延ばして30日の予約にされた。

この念の入れ方は患者にとっては余計なお世話というものだ。

確実に13日間で結果が出るように内部的に連携するのではなく、
無用の6日間の忍耐を患者に強いる選択をするのである。

制度的に可能かどうかわからないが結果が出たら詳細は後日でいいから、
受験の合否のように電話かメールでシロかクロか教えてくれればいいのに・・・。

ところで手術、退院後の生活には注意点がある。
酒や辛い物は1週間控えるようにとあった。
直接的には関係ないが一番長い禁止事項は温泉で3週間、血行を良くするのがいけないらしい。

普段は自主判断で軽く掟破りをする場合もあるが今回は忠実に守った。

守ろうが破ろうが病理検査の結果には影響ないのに、
行儀を良くした方が好結果が出るのではという小心者らしい感性だった。

2週間が経過してからの1週間が長かった。
世が世なら既に結果を知ることができていると思うとどこか被害者感覚らしきものもあった。

寝ていても珍しい人物が登場する夢をみたりした。
どちらかと言えば会いたい人間ではなく避けたい人間の夢が多かったような気がする。

大腸癌に関する耳学問も再び深めた。

医者の説明に対してどういう質問をしたらいいかもあれこれと想定した。

そして愈々30日がやってきた。

朝食は過去に松井秀喜が復帰する時に食べると縁起の良かった鮭だ。

実は12月に胃の内視鏡検査も受けていた。
全く問題なしだったが、その時と同じヤンキースの‘シロ’のフリースを着て病院に向かった。

9時過ぎに到着しコールされたのは10時45分。
その間もまるで試験前の学生のようにプリントアウトした資料を読んでいた。

診察室に入室する前にヴォイスレコーダーのスイッチもオン。

医師の説明は簡潔だった。

3個の小さなポリープは良性。
問題の大きな方は癌化の途上にあったが癌にはなっていない。
もし放置していれば確実に癌化していた。
良いタイミングで切除できて良かった。
今回はこれでお仕舞いで通院の必要なし。
ただポリープの出来やすい体質と思われるので2年後を目途に再検査が必要

おぉ~~、なんというベスト・シナリオ・・・(^。^)

さすがに涙は出なかったが泣きたいぐらい素直に嬉しかった。

せっかく積み上げた大腸癌に関する知識は披露できなかったが・・・(-_-;)

検査を受けた時のベスト・シナリオは異常がないことだ。
ポリープが発見された時のベスト・シナリオはそれが良性なことだ。

ところが少し捻くれた感覚としては、今回のように放置していれば確実に癌化してたものを
一歩手前で未然に防ぐことができた方が‘やったー感’が有りシナリオとしても充実感がある。

クロは嫌だが全部シロも単純すぎる。
灰色を阻止できたのが嬉しい。

今回のポリープ騒ぎを知っていたのは数少ない身内とふたりの友人だけだ。

検査結果を知らせるとみんな安堵しながらも、どこか物足りない様子でもあった。
気持ちがわからない訳でもない。

私も4日連続でこの話題について書いてきた。
まるで性質の悪い連載漫画のように勿体をつけたティージングになってしまったかもしれない。

‘な~んだ、結局単なるポリープだったんだ。心配して損した。’

そんな声が聞こえてきそうだ。

私は最終的にセーフだったことを知った上でどんなに怯えていたかを書いた訳だが、
飽くまでもこの50日間の自分の心の浮沈を忠実に表現したかっただけなのでご理解頂きたい。

‘健康な魂なんて退屈なものだ’という文学的な世界もあるだろうが
やはり人は健康な心身を素直に歓迎すべきだ。

(終り)

2008年2月2日土曜日

案ずるより‘切る’が易し~全然心配‘内視鏡’~

素性のわからないポリープを抱えたまま越年。
めでたくもない新年を迎えたがそこは一応元旦、
いまは滅多にやらない昼酒をからすみ等を肴に少しだけやっていた時に電話が鳴った。

なんと病院からだった。
8日の入院の打診だった。
勿論、即答でYESだ。

私の場合心臓関係の薬を調節する必要がある。
中でもワーファリンという薬は極めて繊細だ。
その薬止めの必要があるから入院の1週間前には連絡がないといけない。

それにしても年末年始は機能していないと思っていたから、
2008年第1号の私への電話は予想外の‘吉報’だった。

こいつは春から縁起がいいや・・・(^。^)

入院の前日、もしかしてと思い個室が空いているか確認したところ、
なんとこれまた1室だけ空いていて早速予約した。

飛行機で一回ビジネスやファーストを経験するとエコノミーに戻れなくなるように、
入院も一度個室を経験するとやめられなくなる。

旅行もしない病人ならではのせめてもの贅沢だ。

今回はそもそも入院待ちの患者が列を作っている状況だったので、
個室に固執すると更に入院が遅れると思い遠慮していたのだ。

内視鏡によるポリープの手術はそれほど難易度は高くない。
実際日帰りで済む場合も多いらしい。

ただ私の場合はワーファリン等の影響で出血しやすかったり、逆に薬を止めているせいで
血栓ができやすくなったりするリスクがある。

入院した午後には教授回診があったが、専らそっちの話だった。

恐らく彼らにとっては内視鏡手術はお手の物で、それ以外のリスクの方が気になるのだろう。

手術は翌日の午後。
時間は確定できず部屋でずっと待たされていた。
内緒で部屋に持ち込んだDVDプレイヤーをテレビに繋ぎ、
映画を観ていたがさすがに集中できずに内容が理解できない。

どんなに遅くても4時頃にはという師長の言葉にも裏切られ、
呼ばれたのは4時40分だった。

かなりの美形の看護師が押す車椅子で手術室へ向かう。

‘あぁ~、君がボクの人生で最後に目にする美人かもしれない’

緊張を和らげようとする時の私は雄弁になる。
おまけに相手が美人ときたらさらに加速する。

内視鏡室に到着し、手術が始まると20分ほどで終了した。
長々と待たされた分一層短く感じられた。

確かに検査の時はあちこちと隈なく寄り道をする必要があるが
今回は既知のターゲットをロックインすればいいだけだ。

小さなポリープ3発を軽くやっつけて、その後やや時間をかけて件の大物1発を切除。

痛みも無かったし懸念された出血もなかった。

まさに案ずるより‘切る’が易し・・・(^。^)

全然心配‘内視鏡’・・・(>_<)

カテーテルといい内視鏡といい医療技術の進歩の恩恵は大きい。

4個のポリープはしっかりと回収され病理検査に回された。

どうやら入院待ちの平均は2ヶ月らしいが幸いにもほぼ1ヶ月で実現。
体内に潜んでいた謎の物体を駆逐できて私も一挙に明るくなった。

ただ、その物体の正体を知るXディまではまた3週間の待ち時間が必要と聞きややうんざりした。

(続く)

2008年2月1日金曜日

確定できないリスクへの怯えと苛立ち~‘仮定の医学’で膨らむ妄想~

今や誰でも知っているサブプライムローン問題、私が去年この言葉を初めて知った時
その深刻さは容易に予想できた。

単純なローンであれば貸し手と借り手の問題に止まるから
ローン残高以上の損失問題にはならない筈だ。
それがサブプライムの場合はそのローンが切り刻まれて証券化されて世界中に拡散した。

サブプライムローンが‘癌’だとすると証券化によって様々なところに‘転移’しているのだ。

腐った果実が箱の中に一つだけ入っているだけで全体が腐乱する可能性がある。
癌でいうところの浸潤の度合いが分らないのと似ている。

確定できないリスクほど厄介なものは無い。
リスクがロスとして確定できればそれ自体は悲劇的だが問題に終止符を打つことは出来る。

ポリープが見つかった後の私の心境も同じだった。
私の大腸ポリープは癌化しているのか、その場合どの程度深刻なのだろうか。

いち早くリスクを確定させたい気持ちが強くても現実は甘くない。

入院・手術のスケジュールがまったく見えないのだ。
最短で1ヶ月、3ヶ月後になる可能性もあると言われた。
執拗に早期の手術をお願いしても‘何なら他の病院を紹介しますよ’とつれない。

リスクは発見されたがその計量化の目処が立たない。
これは苛立つ。
体内に死に至らしめる物が存在するかもしれないことが分かっているのにそれを除去できない。
これも苛立つ。

Xディをひたすら待つだけの毎日。
おまけに仕事もなく、MLB観戦もなく、ブログも書かない1日は実に長い。

有り余る時間を利用して要らぬ思いを巡らしてしまう。

昔はまるでバイブルのように一家に一冊あった‘家庭の医学’
ケチって10何年も前のヴァージョンを読むと、医学の現場とは微妙なズレもあった筈だ。

それが今ではネット社会の恩恵で極めて新鮮な情報を簡単に得ることができる。

熱心に勉強すれば医者を凌駕する‘耳学問’を修得することも夢ではない。

私も調べまくった。
調べながら‘もし・・・ならば’と色々なケースを妄想する。

これが所謂ひとつの‘仮定の医学’ってやつだね・・・(>_<)

ここでは個人の性格が色濃く出る。

ディーラー時代もそうだったが何か悪いことが起こると、考え得るワースト・シナリオを描き、
ワーストからワースへ改善させて行くのが‘ナリポン主義(Nariponism)’だ。

但し相場の場合は所詮お金の損得勘定だから、将来挽回することは十分可能だ。

‘悪性新生物’の場合のワースト・シナリオは挽回不能の悲劇が待っている。

友人、知人の中に50~54歳で癌が原因で逝った人を4人知っているが
全員が発覚後半年前後というスピードだった。

急性心筋梗塞の時は激しい胸痛はあったものの救急車で搬送され、集中治療室へ一直線。
リスク発生直後に然るべきリスク対応がなされた。
病気について調べる暇もなければ要らぬ妄想に悩まされることもなかった。

病気の持つリスクが違うと言えばそれまでだが、
病院からは何の音沙汰も無いままに年末を迎えた。

                
(続く)