2010年2月4日木曜日

松井秀喜の置き土産のトロフィーを手土産にアジア行脚するヤンキース首脳~礼賛、美辞麗句に潜む偽善と狡猾さ~

松井秀喜がヤンキースに残留できないことは既定の路線だった。
個人的にもシーズン中からそれを覚悟していたし、可能性がalmost zeroなのは
いわゆるチーム編成上仕方が無いことだと納得していた。

それでも松井は引き続きヤンキースでプレイしたい気持ちを素直に吐露していた。
松井の希望が叶うことをファンとして望みながらも、それが絶望的なことも承知していた。

実際にヤンキース側の動きは冷淡と言ってもよい程鈍く、それを感じ取った松井側は
エンジェルスのファーム・オファーに飛びつくことを決断した。
結果的にはその後のFA市場の動きをみれば、まさにグッド・デシジョンと言えるものになった。
松井の最大のプライオリティであるワールドチャンピオンを目指せるチームに加わることが出来たし、
あそこで決断をしなかったら現時点で‘無所属’の可能性も十分にあったからだ。

私の中では松井とヤンキースとの訣別は所謂想定内の出来事として決着がついていた。
松井自身も気持ちの切り替えは上手く出来たようだ。
結果的にはファーム・オファーを出さなかったヤンキースに対しても、
恨みや未練がましいことは一切口にしなかった。
むしろ7年間の恩義だとか愛着を強調していた。
ヤンキーとしてワールドチャンピオンになるという悲願を最終年に達成し、
それに松井自身がWSMVPという最高の形で貢献できたことで、
踏ん切りをつけやすかったのかもしれない。

ファンとしての私にはそういうひとつの実績、歴史、伝説が生まれたことで
明らかにある種の余裕がある。
その余裕のせいなのかヤンキースの決断を批判する気持ちも特段無かった。

ところが今頃になってカチンときたのだ。
ヤンキースの首脳がワールドシリーズのトロフィーを持ってアジア行脚にやってきた。

松井の‘置き土産’を手土産かよ・・・<`ヘ´>

去年の秋‘偽物’が飾られたMLBカフェでイベントが開催された。

世が世なら当然松井も大ヒーローとして参加してたよな・・・(-_-;)

まあ、それは既に決着のついたことだからどうでもよい。

問題はキャッシュマンGMとレヴィン球団社長の松井に対する言葉だ。
彼等は最上級の言葉をかき集めて、松井を礼賛した。
美辞麗句のオン・パレードだ。
ファンとしては松井が誉め讃えられることは本望の筈だ。

ところが、どういう訳か彼等が松井を賞賛すればするほど反感を持ってしまったのだ。

世の中でそれぞれのポジションにある人はその場に応じてそれらしい発言をする。
社交辞令、外交辞令、リップサービスも当然必要な場面では駆使する。
自分は本音派でそういうことを極力しないタイプだが、
それをとやかく言う程大人気無い人間ではないと思っていた。

ところが今回はダメなのだ。
連中の言葉が偽善的に感じてしまうのだ。
アジアでのマーケティングの最初の国である日本、一応井川がいるが松井のいないヤンキースが
今年ファンを失うことは避けられない。
そのために必死になるのもわからなくないが、だからと言ってこのレヴィンの言い方は無いだろう。

"We love Hideki," Levine said. "Hideki Matsui is always going to be a great Yankee. He's a great person, there's nobody of better character, and we're going to miss him.

"Unfortunately the timing didn't work out. He had an offer from another team, we were focusing on the pitching end first trying to get Andy Pettitte and a few other things internally done, and Hideki decided to go."

何が‘Unfortunately’なのか。
自分達のシナリオ通りに首尾よくことが進んだじゃないか。
おまけにまるでヒデキが勝手にヤンキースを去ったようなニュアンスにしている。
自分達が追い出した悪者ではないと印象付ける狡猾さがみっともない。

まあこれも全部ビジネスだから割り切るしかないと言えばそうなのだが、
どうも釈然としない。

連中はメディアを相手に言葉を発している。
それが仕事なのだ。
ヤンキースを去ることになった松井に直接言葉を掛けてはいないだろう。
それが慣習上できないのかどうかわからないが、人間味も愛も無い世界だ。

今回彼等のこれだけの誉め言葉を間接的に聞いた松井は一体どんな心持ちだったのだろうか。

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