2005年2月20日日曜日

今日はミスターの誕生日

ミスターとは勿論、長嶋茂雄氏のことだ。
彼の人生には数多くの伝説があるが、私の人生においても、彼に因んだ逸話は数々ある。
それくらい自他共に認める熱狂的な長嶋信者だ。

その長嶋さんが去年の3月5日、脳梗塞で倒れた。
心原性脳塞栓というやつで、何を隠そう、私が発症した心筋梗塞と同じ血栓症。
血液の塊である血栓が心臓の血管に詰まれば心筋梗塞であり、脳の血管に詰まれば脳梗塞だ。
両方とも大量の血液が流れる箇所で、血栓がどちらに行くかは五分五分だそうだ。

すると、私と同じ薬を服用しているかも、な~んて考えるとチョッと嬉しくなったりする辺りが、
信者ならではの感覚だが・・・。

人はある程度の年齢に達すると、異口同音に自分の誕生日なんかちっとも目出度くないと言う。
寧ろ、ひとつ歳を重ねることにより若さを喪失するネガティブイメージを持ってしまう。

でも、それは自分が健康であることを前提にした驕りかもしれない。
一年後の誕生日を迎えることができるかどうか解らないような健康状態にある人に
とっては、やはり誕生日は単純に目出度いのである。


実はスペインの銀行に勤めていた8年の内の最初6年間、支店長をしていたスペイン人が
同じく2月20日が誕生日だった。
普段、支店長は支店長室、我々ディーラーはディーリングルームに「隔離」されていたので、
一日を通じて彼と一言も交わさないことも珍しくなかった。

なのに、誕生日には必ず彼を訪ね誕生日を祝った。
ある年、何故私が彼の誕生日を忘れずに毎年祝ってくれるのかと彼が尋ねてきた。
「それは私があなたを尊敬しているからですよ。」とおどけて答えたが、
いつもストレイトな物言いの私らしくない返事に彼が満足する筈もなかった。
「実は、私が最も好きな或る野球選手の誕生日と一緒なんですよ。
その選手はNagashimaといって、国民的大ヒーローですよ。」
彼は漸く納得した様子だった。

その彼は3年前の1月に天に召された。
肝臓癌だった、53歳だったと思う。


輪ゴムで固定して書いたと言われる『長嶋茂雄』のサインはかなり痛々しいが、
ミスターが今日69歳の誕生日を迎えられたことは喜ばしい。

今後は‘がんばらないこと’も肝に銘じ、
是非‘2度目の還暦’を目指して欲しいものだ。

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