2008年10月29日水曜日

パナソニックの食器洗い乾燥機を通販で買ったら中国製が届いた~家電製品のカタログに原産国表示の義務がない不思議~

前回書いたように、我が家では最近食器洗い乾燥機を買い替えた。
パナソニックのNP-TS1というやつだ。

価格や購入にあたってのショップの対応には極めて満足していたのだが、
送られてきた巨大段ボールに書かれた‘中国製’を発見して途端に萎えた。

その事実を知っただけで、樹脂部分の色合いがくすんでいるように見え、
金属部分もチープに見えてくるから、人間は勝手だ。

やや冷静さを失ったせいか、一番に考えたことは当該ショップの安さの秘密が
中国製だからというからくりではないかという疑惑だった。
そこで先ずはパナソニックのお客様相談センターに電話した。

型番を告げて届いた商品が‘中国製’であることに動揺した旨を伝えると、少し待たされた上で
‘えぇ、確かにこちらの製品は中国製です’といとも涼しげに返答された。

‘あの~、カタログにもそちらのサイトの製品紹介のどこにも中国製の表示はなかったのですが~’
と質しても

‘製品や梱包の箱には記載されていると思いますが・・・’
と素っ気ない。

その後もいくつかの遣り取りがあったが特に深まることもなかったので、
翌日その方面に詳しい人から折り返し電話を貰うことを約束して電話を切った。

それは電話の向こうの女性に限界を感じただけでは無い。
自分自身がこの点についての知識武装が全くできてなかったので時間稼ぎが必要だったのだ。

時間稼ぎと言っても今はネット情報が実に容易にゲットできるから大仕事ではない。
思いつくままにそれらしい検索ワードを打ち込めば、それらしい答えは簡単に得られる。

家電製品の表示に関して仕切っているのは‘全国家庭電気製品公正取引協議会’という
社団法人であることが判明した。

どうもこの手の団体は業界の権益を守るために結束するとか、
‘官’と結託して悪さをしている先入観があるよな・・・(-_-;)

そのサイトの規約を読んでみると、確かに原産国の表示義務は製品本体にしか課せられていなかった。

一夜明けて、パナソニックからの電話を待つ間に、候補のひとつだった東芝のDWS-600Cの原産国について問い合わせてみた。
この製品もカタログやメーカーサイトには表示が無かったが‘タイ製’であることが判明した。

結局そこで東芝相手に20分話して、その後パナソニックと30分話したが、どうも合点がいかず、
或る意味、自分でも予想していたように‘本尊’である家電公取協に電話してみた。

いきなり‘おたくどちら’の無愛想な応対には呆れたが、一般消費者担当の人が不在のため
翌日電話させると言われた。

翌日の3時過ぎに電話がかかってきたが、前日のオッサンとはえらい違いで愛想も良く
しゃべりも達者だった。

前日の東芝、パナソニック、そして家電公取協とのやりとりは全部で2時間近かったと思うが、
要約するとこんな感じだ。

《私の質問》
食品だけでなく玩具や食器等にも中国製の問題が及んでいる時代に、
自分の買う電化製品がどこの国で作られたか知りたいと思うのは自然なことではないか。
ところがその原産国がカタログやメーカーサイトを見てもわからないとなると、
購買判断の上で支障をきたすと思うのだが。

《彼らの回答》
製品本体には必ず表示されているからそれを確かめればよい。

製品を確かめられない人は電話で問い合わせてくれれば教える。

カタログに一旦記載すると、原産国の変更があったりした時に不都合が生じる。

当社はISO14001の認証を受けているから大丈夫だ。

消費者はメーカーと性能には拘るが原産国には余り拘らない。

どこの工場で作ろうが厳しい社内基準が厳守されて品質管理が行われているから
製品の差は生まれない。

規約の制定にあたっては公正取引委員会と協議し指導を受けているし、
規約は法律で求められている以上の厳しいものを自主的に定めている。


私は彼らの説明に対して当然いつもの調子で突っ込みを入れまくったが、
論理としては自信があるのにどうも今一歩迫力がない。
理由は簡単だ。
自分自身が今まで日本メーカーの家電製品の原産国に強く拘ってきた意識がないからだ。

それが最近の中国産、中国製に対する不信感の高まり、あとは今回買った商品が
食器洗い機というところで,
過敏に反応してしまった節はある。

‘中国製だと中国製の有害食器にも対応しているメリットがあったりするんですか’という
私のブラック・ジョークには担当者も笑っていたが・・・(>_<)

故障の確率が比較的高いなどの問題はあると思うが
日本のメーカーが海外生産した家電製品が何か大きな問題を起こしたことが、
実際にあったか記憶にない。

家電製品は消費者物価指数を押し下げていることで、指数と生活者の実感に乖離が生じ、
今は数字をミスリードする犯人扱いをされているが、実際には価格競争が激しい中で
その恩恵を受けているのは我々消費者だ。

そしてその低価格競争を支えているのが‘世界中の工場’であることは間違いない。

それでも私はやはりカタログやメーカーサイトでの原産国表示は今後義務づけるべきだと思う。

家電公取協の規約にもこう書いてある。

3. 必要事項表示
一般消費者が知りたいことを積極的に表示してもらいたいという要望にこたえて、
必ず表示しなければならないことをきめています。

かつては知りたいと思わなかった消費者の中にも、今は原産国を知りたがる人々はいると思う。
実際、担当者の話でも問い合わせや表示の要望を訴える声が増えてきているのは事実なようだ。

行政的にも消費者庁の設置が現実味をもって検討されている世の中にあって、
家電品の原産国情報をカタログ等で提供するのは時代の趨勢だと思うのだがどうだろうか。

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