リーマン・ブラザーズの破綻の後、AIGがすんでのところで一命を取り留めたが、
金融市場の不安は払拭されるどころか一層深まっている。
そんな中というかこの一連の混乱の前から、海外で資金調達が困難になった外国企業、
特に金融機関が日本を狙っている。
サムライ債と呼ばれる円建ての外債の発行だ。
その中でも特に目立つのはシティ・グループの個人向けのサムライ債。
個人向けなので100万から購入できる。
6月に3年物(2.66%)で1865億発行したが、たったの4日で完売したそうだ。
それで気を良くしたのか、一層の資金調達を余儀なくされる状況に陥ったのか、
今月またまた発行するのだ。
シティグループ・インク 第25回円貨社債(2008)
金額は3150億円で、サムライ債発行史上で最大の規模だそうだ。
利率も前回より0.56%も高い3.22%だ。
おいおい、前回買った連中は涙目じゃないか・・・(>_<)
今回の発行条件が決まった瞬間、前の債券価格はその金利差を反映させる形で下落する。
でも逆に考えれば、前回手を出さなかった人の中には、この差をサービス分だと喜び、
かつ3%台というのもインパクトがあると感じる人もいる筈だ。
いつものことだが御用学者のようなアナリストのコメントも人気沸騰を予想していた。
しかし待てよ、冷静になろうぜ。
こんな短期間に金をねだりまくり、しかも金利も上げてくるような奴に金を貸して大丈夫なのか?
最後はトイチの萬田金融に走るかもしれんぞ・・・(>_<)
猜疑心に溢れたナリポンは絶対手を出さないが世の中では相変わらず人気があるらしい。
実際にどんなセールスが行われているかどうかはわからないが、
‘あのシティですよ、格付けは日本の国債と同じですよ、もし万が一何かあっても
あんなに大きな銀行を国が潰すわけないじゃないですか。’
とやられたら、ほぼ預金感覚でイチコロの人も結構いそうだ。
ナリポン的には‘あのシティですよ’の解釈が‘真逆’だ。
ブランドで勝負することの意味の無さは、かつては超一流だったファニーメイやAIGの凋落で思い知った。
シティは90年代の危機的状態を市場参加者として知っているからもともと一流とは思ってない。
格付けについても見通しがネガティヴである限り、現在のレーティングを鵜呑みにするのは自殺行為だ。
何しろ最近は4,5段階は当たり前、一挙に10段階下げといった‘スーパーE難度格下げ’もある。
かつての論理で言えばシティは‘Too big to fail’(大き過ぎて潰せない)の
好事例になるだろうが、その辺もどうだろうか。
今や‘Too big to bail out’(大き過ぎて救えない)が議論され、
将来それがスタンダードになるかもしれない。
実際にリーマンは破綻してそれに伴い発行済みのサムライ債はデフォルト。
平和な3年間ならいいが、カオスの入り口から入る3年間はそれこそ何があるかわからない。
途中でヤバイと思ったら一応売却は出来る。
発行幹事証券の日興コーディアルが買い取ってくれる。
因みに前回発行の24回債の買い取り価格は95円30銭(9月18日現在)で、
3ヶ月足らずで5%の下落は安全志向の人間には‘大暴落’と言っていいだろう。
これは今回の利率の差のみならず、シティの信用リスクの増大分が反映されている。
いやシティに限らずサムライ債に対する信頼はここ数日で大きく失墜した。
実際発行を予定していたドイツ銀行やソシエテ・ジェネラルが見送る事態に追い込まれた。
滑り込みで発行にこぎつけたシティにとってはこの条件で売れれば、超ラッキーということになる。
換言すれば買う人間にとっては発行時点でこんな‘割高商品’は無いということになる。
100円で買った翌日には大きく額面割れになることが予想される。
個人的に勝手な絵を描くと、
この商品はサブプライム問題で激しく病んでいる玄人筋が性懲りもなくというか、
自分の生命維持の為に健康で無垢な素人衆に菌をばら撒いているような感じだ。
個人向けサムライ債を買うと‘サブプライム・インフルエンザ’に罹ってしまうぞ・・・(-_-;)
病理学的にも‘サブプライム’を解剖すると‘サムライ’の4文字が隠れているのが象徴的だし、
この4文字を除くと残るのは‘ブ’と‘プ’でこれは音声学的に臭い・・・(>_<)
私のように積極的なリスクを取らない人間にとって3年3%台は確かに捨てがたいが、ここはじっと我慢。
武士は買わねぇーぞ、高金利・・・(^。^)
*3年後に‘おまえの記事を読んで買わなかったけどちゃんと償還されたじゃないか’
と言われないために、そこんとこは自己責任、自己判断で‘夜露死苦’
≪関連追加記事9月27日≫
シティの既発サムライ債の暴落を1週間遅れで報道した日経新聞のお粗末
~市場混乱の記事で読者も混乱?~
2008年9月18日木曜日
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