書くのは二流どころか、三流、四流の連中という先入観がある。
秘密を対価にしてお金を得たり、売名に使われたりするケースが多いからだ。
連中の術中にはまるように暴露本を買う人達、購入を煽るような報道に奔走するマスコミも
どこか心の隅で侮蔑している。
そんな私が今日は自己矛盾のようだが暴露本のネタだ。
元ヤンキースの監督ジョー・トーリが2月3日に‘The Yankee Years’という本を出す。
Sports IllustratedのTom Verducciという記者との共著だ。
この本に関しての内容の一部が明らかになってからのマスコミはこの話題で持ちきりだ。
NY Daily Newsでは4日間連続で裏一面を飾った。
JOE BOMBS BOMBERS!
JOE VS. VOLCANO
JOE WHO?
RUTHLESS JOE
私は基本的にトーリのシンパだった。
2003年シーズンからどっぷりヤンキースというかMLBに浸かっているが、
それ以前はあまりよく知らない私にとってはヤンキース=トーリという印象が強い。
毎試合見ていればそれなりに愛着も湧く。
松井秀喜との関係も良好でお互いにリスペクトする存在と聞けばそれだけで単純に好感してしまう。
野球監督として超一流かと言えば疑問はある。
それでも去年のドジャース1年目も最後は鬼脚で地区優勝に導いたから、
実は技量はあるかもしれないが・・・。
私が感心していたのはトーリがヤンキースというある種の‘異常な組織’をマネージする
器量を持っていたことだ。
選手をよくプロテクトし、上層部との確執があっても忍耐を持っていた。
発する言葉にひとつの哲学を感じたこともしばしばあった。
その反動が大爆発してこの暴露本になったのだろうか。
旧ヤンキースタジアムの最終日、壮大な儀式の中でジョー・トーリの存在が
まるで誰かの‘検閲’を受けたように抹殺されていたことには私でも激しく違和感を覚えた。
当のトーリとしては怒り心頭に発したのかもしれない。
ニューヨークの2紙が実施中のオンラインの世論調査を見ると、やはり4割~5割の人が、
今回の暴露本出版については否定的だ。
完全に引退した後で回想本の一部に多少の暴露があっても許容されたかもしれないが、
それだと‘旬’を逃すことになってウマミが無いということなのだろうか。
以前記事にしたことがあるが、巨人の原辰徳監督が何とも不可解な解任をされた時に
吐いた言葉を思い出した。
‘話したいことはいっぱいあるが全部墓場に持っていくと決めました’
この‘おとなの判断’が奏功し、結果的には巨人の監督として復帰し、
今やWBCでジャパンの指揮を執る存在になった。
‘墓場に持っていく’ことをせずに、現世で‘キャッシュ化’するトーリにとって、
今回の決断がもたらす収支はプラスになるのかマイナスになるのか。
何れにせよ暴露本ごときでトーリが突然‘さもしい人’に見えてしまうのは極めて残念なことだ。
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