2009年6月23日火曜日

映画「おくりびと」で一番おいしいシーンは77分からの3分半~食の主役、ふぐ白子焼にも‘雄かー’をあげたい~

オスカー映画‘おくりびと’のみどころは随所にあるだろうが、
一番おいしいシーンは77分からの約3分半だ。


何ですか、これは?
ふぐの白子
炙って塩で喰うとうまいんだ
女房だ
9年前にな、死なれちまった
夫婦ってのはいずれ死に別れるんだが
先立たれると辛い
きれいにして送り出した
俺の第1号だ
それ以来この仕事をしている
これだってさ
う~ん、これだってご遺体だよ
生き物は生き物を喰って生きてる、だろ?
こいつらは別だけど
あ~あ~・・・
死ぬ気になれなきゃ喰うしかない
喰うんならうまい方がいい
うまいだろ
うまいっすね
うまいんだよなぁ、困ったことに

本木の台詞は‘何ですか、これは?’と‘うまいっすね’だけで
他は全部山崎だ。

初めて食す本木の方が断然美味そうな喰い方だ。
アツアツのハフハフが実にいい感じ。
喰い慣れている山崎の方のチュ~・チュ~はあまり美しくない。
本木という俳優は天賦の才に恵まれているというより、
自分で努力を惜しまずとことん演技を探究するタイプに思える。
この白子焼を喰らうシーンも例外ではない。
扇子を片手に美味そうに蕎麦を食べる芸を毎日研鑽して会得した落語家のようだ。

ほぼ週に1回は通う馴染みの蕎麦屋の傍に中小の料理屋が食材を求めて通う食品専門店がある。
偶に寄ってみるが実は2月の末に一度、‘まふぐ’の白子を見つけて焼にして大満足だった。
但しそれっきり。
忙しく魚を捌いている職人に訊ねると、シーズンも終わりだし、
本来はプロ相手にしか売らないと素っ気なかった。

仕方がないと諦めていたのに、その後この映画のシーンを観て堪らなく食べたい衝動に駆られた。

そして先月、同じ店で‘再会’を果たす。
フグ白子としか書かれていなかったが、質すと‘しょうさいふぐ’だった。
詳細は不明だが早速購入。

ふぐといえば養殖でも構わないから‘とらふぐ’に拘るのがナリポン流。
これはその昔浅草の老舗店で同時に食べ比べた時の‘トラウマ’によるものだが、
どうやらそれは鍋や刺身、あとは皮に関してかもしれない。
白子焼や唐揚げなら‘まふぐ’や‘しょうさいふぐ’でも十分に許容できる。

映画の中では、炭火で網焼きをした白子を皿にとって少し冷まして、
素手で掴んで口に運んでいる。
自称‘猫手’‘犬舌’のナリポンには到底無理な芸当なので箸を使う。
その分まさに焼きたての熱々を堪能できる。

塩は‘カンホアの塩’というベトナム産の物をつかっている。
7年前に或る飲み屋で食べた‘塩むすび’が大いに気に入って主人を通して出処をつきとめ大量購入した。
肉系にはイマイチなので使ってないが米と魚介類には実によく合う。

ところで魚介類の世界では雌の方が雄に比べて遥かに価値がある。
キャヴィアしかり、鮭しかり、上海蟹しかりだ。
鮭の白子は一度札幌で天婦羅をウリにしている店に行ったことがあるが、
喰えたシロモノではなかった。
雄が頑張っているのは真鱈ぐらいだろうか。

この‘おくりびと’の脚本を書いたのは小山薫堂という人で、映画の脚本は初めてだそうだ。
かつて、フジTVの‘料理の鉄人’の構成を担当していたとのこと。
そのせいか食を活かしたシーンが目立つ。
新鮮な鶏一羽を鍋にしようとする絵はかなりグロい。
お礼の気持ちが込められているのはいいが、干し柿は全然うまそうじゃない。
クリスマスを祝いながらフライド・チキンにしゃぶりつくが食べ方が雑過ぎる。
バケットにマグロの刺身とマヨネーズで変則ツナマヨにするが別に惹かれない。

ピンク映画で監督デビューした滝田洋二郎がこの‘おくりびと’でオスカーを手にした。
映画の評価は色々あるだろう。

個人的には食の主役、ふぐ白子焼に‘雄かー’をあげたい・・・(^O^)/

実はこの1ヶ月半で5度も白子焼を食べている。
100グラム250円と手頃だし、例の素っ気ない職人にはいつまで入るかわからないと、
脅されているせいもあるが、要するにその頻度で食べても飽きない魅力があるということだ。

オスカー効果で映画の興行収入同様、ふぐ白子焼の需要が伸びているかどうかは定かではないが、
もしチャンスがあったら試してみたらいかが?

但し、ふぐ調理師のライセンスの関係からか一般スーパーで扱っていることは少ない。

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