2005年4月26日火曜日

Jの悲劇~効率至上の陰に顕在化する危険~

兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故の死者は70名を超えた。
奇しくもフランス、パリ郊外では観光バスが事故を起こし、3人の日本人観光客が死亡した。

旅客輸送事業、人間を運ぶ、つまりは人の命を委ね、委ねられる恐ろしさを痛感する。
漏れもあるかもしれないが、過去の主な死亡事故一覧だ。↓


1985. 8.12 日航 B747御巣鷹山墜落     ―520人・・・ボーイングの修理ミス
1994. 4.26 中華航空 A300名古屋空港墜落 ―264人・・・操縦ミス
1940. 1.29 西成線(現桜島線)安治川口駅  ―190人・・・満員のガソリンカー3両が脱線転覆。
1947. 2.25 八高線                 ―184人・・・下り勾配で過速度により脱線・転覆
1971. 7.30 全日空B727雫石             ― 162人・・・自衛隊機と民間空中衝突
1963.11. 9 東海道線               ―161人・・・鶴見事故。二重衝突
1962. 5. 3  常磐線                 ―160人・・・三河島事故。二重衝突
1966. 2. 4 全日空B727羽田沖             ― 133人・・・原因不明。機体の欠陥説も
1982. 2. 9 英国海外航空B707富士山麓        ― 124人・・・乱気流で空中分解
1951. 4.24 京浜線                 ―106人・・・桜木町事故。列車火災
2005. 4.25 福知山線  ★今回の事故★  現在73人・・・原因調査中
1966. 3. 4 カナダ太平洋航空DC-8羽田沖        ― 64人・・・濃霧による着陸ミス
1948. 3.31  近鉄                  ― 49人・・・近鉄生駒トンネルブレーキ故障。
1991. 5.14 信楽鉄道                ― 42人・・・単線正面衝突
1972.11. 6 北陸線                 ― 30人・・・北陸トンネル内車両火災
1982. 2. 9 日航 DC-8羽田沖墜落        ― 24人・・・機長がノイローゼ


折しも、JALもトラブルが続き業務改善命令を受け、
そのさなかに再びトラブルが続発している異常事態だ。

個人レベルでも交通事故があるが、交通事故による死亡者数は漸減傾向が顕著で去年で
約7300人。
1970年には約17000人いて、世の中では‘交通戦争’という流行語が生まれた。
車の普及は進み、台数は劇的に増えたはずなのに死者は半減しているのだ。
この驚くべく減少には様々な要因がるだろうが、個人のスキル、モラルの向上もあったと思う。

それなのに、旅客輸送のプロであるJRやJALは段々と堕落している印象が拭えない。

軽々には言えないが、その原因は‘経営の効率’のような気がする。

JALはJASとの合併が上手く機能せず、ANAとの競争も激化している。

JRも今回のこの路線も私鉄との競争が激しいらしい。
社員が思わず虚偽の報告をするのは言語道断だが、それほど追い込まれてしまう管理体制が
ある。
労働組合側の発表だが、2001年にはJR西日本・尼崎電車区で1分の列車遅延を理由に
乗務停止の扱いを受けていた運転士が自殺するという事態が発生している。

厳しい管理そのものは悪ではないが、その管理の方向性が表向きは‘安全第一’を謳いながら、
実際は‘効率至上’が実践されているイメージだ。

スタンスが歪んでいたら、ボールは真っ直ぐ飛ばない。
妙な軌道を描くだけだ。

偉ぶってものを言う気は無いが、利用者を質札にとるような効率化はいらない。

ところで、ナリポンはもう3年8ヶ月、飛行機にも電車にも乗っていない。
なんと‘消極的な安全策’なのだろう(笑)

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