蕎麦に関する本や雑誌がたくさん置いてある。
恐らく、研究熱心な店主が自分の蕎麦作りの参考にもしているのだろう。
彼は7~8年前にいわゆる脱サラで店を開いたと聞いている。
そもそも蕎麦に関しては歴史的に見ても色々な文人が著しているし、
薀蓄を語るには好材料だから、様々な本が出版されている。
そのうちの1冊の雑誌に‘自遊人’というのがあり、680円の割には極めて読み応えがる。
ほぼ週イチペースで通っているから、もう何度となく読んでいたのだが、どうも読み足りない。
9月発売だから、もう手に入れることも出来ないだろうと思っていたら、
バックナンバーを取り寄せられる事がわかった。
去年の暮れに書店に頼んだら、ようやく今朝電話があり、さっきやっと手に入った。
その記事の中で、
‘蕎麦屋のオヤジがウンチクは本当か?’
というのがあり、巷のウンチクとして7つのウンチクの真偽を信州大学の氏原名誉教授が
語っている。
いくつかは、今までの読んだ蕎麦の本や漫画‘美味しんぼ’で多少の知識はあったが、
ひとつかなり衝撃的なことがあった。
そば粉に関しての記事だ。
国内で流通する国産蕎麦の割合はたった20%で、製粉業者の買い入れ価格は、安い北海道産でもキロ300~450円、長野黒姫産や茨城金砂郷産等のブランド蕎麦では450円する。
一方、価格の安い中国産はキロ40~55円で価格差は約15倍。
だから国産そば粉は高級品という、ウンチクは当っている。
しかし、だからと言って、最近の東京の店に多い
‘3口で食い終わるような蕎麦が1枚1000円’を
正当化できる訳ではない。
高級店(高額店?)の蕎麦はだいたい生で100g前後。
そば粉1kgから約1.4kgの生麺ができるので、仮にキロ500円玄蕎麦が製粉後にキロ1000円で販売されたとしても、1枚あたりの原価は80円程度ということになる。さらに自家製粉すれば、原価は下がるのだ。
この利益率こそ脱サラ蕎麦屋が次々と開業する理由。
こだわるとむしろ、めんつゆの方が高いのが現実なのだ。
が~~~~ん、高級蕎麦店の蕎麦1枚の原価が80円だと~~~~~(?_?)
てめえ、思わず♪鼻からめんつゆ~~~♪じゃねーかよ。
よくラーメンの原価は安いと言われる。
ラーメンの麺は蕎麦屋の麺に較べればバカ安いとされているし、私自身そう信じて疑わなかった。
実際、ラーメン屋で大盛りを頼んでも麺が50%増量で、大体100円増しだ。
店によっては、50円のところや150円のところもあるが、200円というのは中々無いのでは・・・。
というか、店によっては、並も中盛も、時には大盛りもすべて同じ値段で提供しているところもある。
だから、ラーメン屋の場合は麺の増量は経済的な問題と言うよりは、自分の胃袋の問題だったり、
味の良しあしだったりする。
ところが、蕎麦屋の場合は食べる量が、即‘お金の問題’になる。
大盛りがあったり、蕎麦だけの追加もできたりするが、基本的には1枚単位だ。
1枚650円だとすると、3枚で単純に1950円ということになる。
‘3口で食い終わる’は言い過ぎにしても、小学生でも2枚は簡単にいける。
ナリポンは基本的には、せいろを食べた後に熱いの(かけ、たぬき、花巻など)を食べる。
ラーメンはトッピング過多のメニューは嫌いなので、大体1杯の値段は700円前後。
良心的な店だと500円台もある。
そしてその1杯で満腹になる。
今まで、特に疑問を持たずに、蕎麦屋に通っていたし、いわゆる町の蕎麦屋に較べて
高級蕎麦屋を、どこか有難く思っていた。
さすがに、名店のひとつとされる‘竹やぶ’は量的にあれで1000円はやり過ぎだと思ったが・・・。
しかし、蕎麦屋ではそれなりに金を使っても妙に納得していた。
それぐらい、材料原価でそれなりにコストがかかるものだろうと勝手に判断していた。
それが、もしこの記事にあるように、1枚80円だとすると、かなり‘景色’が違う。
寧ろ、この‘原価の秘密’は知らなかった方が良かったのかも知れないが、
だからと言って、蕎麦好きの人生を今更止める訳にもいかない。
昔は、大抵の男が一度は夢見る事だが、リタイヤーしたら作務衣でも着て、
自分で蕎麦打ちでもしようと考えていたが、身体を壊してしまったから、それもままならない。
贔屓にしている店は江戸風の辛いツユのせいか、他に余り客がいない。
私としては潰れてもらっては困るので、精々‘貢ぎ続ける’しかないのだ。
かつては脱サラと言えば、ペンション経営と言われたが、今は手打ち蕎麦屋だという説もある。
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