2005年9月6日火曜日

カトリーナと台風14号に見る日米の違い~それでも‘美國’と書くの?~

木村太郎のおっさんが、現場に出て中継する必然性は疑問だが
テレビは昨日から、台風14号のニュース一色だ。

NHKは今日、ほとんど一日中、台風情報を流していたと思われるが、
こういう時のNHKは頼もしい。

日本人なら台風には慣れているが、今回は、何しろ、アメリカでハリケーン・カトリーナが
甚大な被害を齎した直後だけに、どうしても一段と注目してしまう。

実際、暴風域の広さは台風14号の方が大きいらしい。

それにしても、カトリーナに関しては、私自身が事情に疎いせいもあるのだろうが、
様々な疑問がある。

先ずはこのニュースだ。

死者1万人の恐れと市長 米史上最大被害に匹敵か
 
【ニューオーリンズ(米ルイジアナ州)5日共同】超大型ハリケーン「カトリーナ」襲来で最大の被害が出たルイジアナ州ニューオーリンズ市のネーギン市長は5日、死者数が同市だけで1万人に上っても「多すぎるという感じはしない」と述べた。米NBCテレビのインタビューに答えた。
 市長は「正確な数は分からない」とし、1万人の根拠も明確にしなかったが、犠牲者数は米中枢同時テロの約3000人を超え、米史上最大のハリケーン被害を出した1900年のガルベストン(死者数6000-1万2000人)に匹敵する恐れが出てきた。
 AP通信は、被災州などの報告を基に5日までに確認された死者数が計246人に達したと報じた。


何か、災害やテロ事件などが発生した直後ならいざ知らず、ほぼ1週間経過しているのに、
潜在的な死者が1万人、公式発表は246人。

この乖離は異様だ。

日本では、台風が経過中にも拘わらず、死者や行方不明者数が刻々と伝えられている。
大国アメリカの情報収集能力、事態収拾能力って、こんなもんなの。

まあ、そんな‘単純な疑問’は当然世界のマスコミも抱く。

米紙ワシントン・ポスト

「イラク戦争は3週間で終わらせたのに、なぜ国内の被災者を救えないのか」
「(被災者に黒人が多いことは)アメリカンドリームの暗部を露呈した」

英紙インディペンデント

「ブッシュ大統領はどこにいたのか」
「米国は人口2500万人のイラクを3週間で制圧したのに、体育館(ニューオーリンズのスーパードーム)の2万5000人を(迅速に)救出できなかったのか」

仏フィガロ紙

「米軍がインド洋大津波では素早く被災地に到着したのに、なぜ同じことが国内でできなかったのか」

混乱に乗じて、窃盗、略奪、強姦等も発生する。
今回のハリケーンの混乱を記事にして、一躍人気を博した現地のブロガーによれば、
そう言った犯罪を、警官達自らが犯しているというから呆れる。

日本では、スーパーやコンビニがなんとか被災者のために必死に店を開け、
一部無償で水を提供するなど、最善を尽くす。

何かと不祥事の堪えない日本の警察や公務員達も、混乱の中で、
悪意を持って行動することは少ないだろう。

国土の大きさも違うし、州の集合であるアメリカとでは事情も違う。
アメリカは歴史的に移民社会であり多民族であり、貧富の差も極めて顕著だ。

今、日本でも選択を迫られている‘大きな政府’‘小さな政府’の後者の問題点とも
関わっているかもしれない。

今回の被害者の多くが、黒人の貧困層であると予想されることから、
人種問題としても大きな問題となる可能性がある。

古い言い方だが‘世界の警察官’と言われるアメリカが
自国民の生命や財産を守ることに熱心でないとしたら、美しくない。

それでも、アメリカを漢字で書くと‘美國’なんだよね。

ブッシュも思いがけない‘女性問題’で窮地に立たされるかもしれない。

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