2005年9月13日火曜日

日本人の行動パターンってまるで‘ガキのサッカー’みたい~自民圧勝に思う~

ナリポンが現役のディーラーの時、最も下手糞だったのが‘日本国債(円債)の先物取引’だった。
これは、米銀にいた時に、凡そ1年半くらいだけディールをしたが、
通算でチャラかややマイナスだったと思う。

昼間、円債でやられた分を取り戻すのは夜間のシカゴ市場だった。
そこで‘米国債(Tボンド)の先物取引’を行うのだ。

日本人の私が、日中、情報量も豊富な円債で負け、
夜、情報量も不足気味で、ニュースもすべて英語という環境で取引する米国債で取り戻す。

まあ、私のディーラー人生は海外(シンガポール)で始まった訳で、そこで5年間の経験を経て、
転職と言う形で、日本に‘逆輸入’されたとも言える訳だが・・・。

‘相場にケチをつけるディーラーは、それだけで二流’というのが持論であったにも拘らず
この円債マーケットには、しばしば文句を言いたくなった。

‘まるでガキのサッカーみたいだな’

こう言われても、実際にガキのサッカーを見たことのない人には分かりづらいだろうが、
幼稚園レベルのサッカーの試合をみると笑っちゃう。

極端な話、ゴールキーパー以外の選手は全員ボールの周りにいるのである。
サッカーというよりは、おしくらまんじゅう状態。
ただ、そこにあるボールを蹴ろうとするだけだから、ほとんどの場合他人に当るだけである。
時に、運よく蹴りだすことが出来ると、そのボールを目指して、また全員が一目散に走る。

特に当時の円債マーケットは一部の‘ビッグフィッシュ’によって支配されている傾向が強く、
合理的な材料が無くても‘きょうはN社とT信託が買い仕掛けをするらしい’とかいった
噂が飛び交う中、実際にそういう相場になるのである。

アナウンス効果のところで書いた、バンドワゴン(勝ち馬効果)だ。

そう言った動きの、先頭にいればいいのだが、目だった材料も無い中で買われて、
売りポジションを否応無く手仕舞いさせられる連中が出てきたり、
遅れて、新規に買いポジションを作ったりする連中が出てくると、
最初から買いで仕込んでいた連中は一斉に、利食いの売りを始めるのである。

極端な場合は、手仕舞いのための売りだけではなく、売り仕掛けをする。
すると、のこのこ買い出動した連中が損切りをさせられてさらに売りが加速化したりする訳だ。
そこで、先駆者はまた利食いの買いを入れ、終ってみれば、
引け値は前日とほぼ変わらずだったりする。

もう、大物の誰かがポ~ンと球を遠くに蹴ると、それを目指してみんなで追いかけ、
それを見た他の連中が、ボールに辿り着いた頃を狙って、また大物が大きくボールを蹴りだす。

その点、シカゴの米国債市場はもっと層が厚い。
ローカルズといわれる連中もいるから流動性も十分で、余程のビッグニュースが無い限り、
値がぶっ飛ぶ事もない。

だから、円債で儲かっても‘自分の実力’と言う感じはしなかったし、
翻弄されて損をすると極めて惨めだった。

米国債は勝っても負けても、自分の判断力・決断力に帰着させることができた。

まあ、当時の円債市場は極端にそういう傾向が強かっただけで、
最近はもっとソフィストケイトされていると思うが・・・。

円債以外でも、私が‘和モノ’と読んでいた相場は、為替を含め極端に走ることが
傾向として強かった。

相場を分析するテクニカル指標のひとつにRSIと言うのがあるが、
これが極端な値になることがしばしばあった。
もういくらなんでも買われ過ぎ(売られ過ぎ)のゾーンに入っても、買う人(売る人)が居るのである。
数値としては、下は2、上は97を経験した事がある。
流石にこの数値では逆張りで奏功したが、ああいう数値は他の商品では
中々お目にかかったことはない。

和モノの場合、市場参加者の相場観が極端に一方向に傾く時がある。
洋モノも顕著なトレンドを形成する事はあるが、値の付き方はもっと‘成熟’している。

長々と余り面白くもないことを書いてきたが、一体何を言いたいのか。

いや、この前の衆議院選挙の結果をみて、
ディーラー時代の‘和モノ’の相場を思い出したのである。

ノンポリ・ナリポンは今回‘反小泉’に投票した。

それで、自民が歴史的な大勝したから気に入らないとかではなく、
大勝を齎した、投票行動に少し‘ガキのサッカー’的なものを感じてしまったのだ。

ここ、20年、10年でみても、日本人の個々の価値観や人生観は多様化してきたと思っていたし、
そのこと自体は好ましいと思っていたのだが・・・。

テレビのインタビューで今回自民に入れた、
元来は無党派のおねえちゃん二人に理由を聞いていた。

‘えっ、別に深くないしー、なんとなくやってくれそうな気がしたから’

‘わたしも、ぜんぜん深くない、顔とかじゃないけど・・・’

読んではないが、三浦博史という人が書いた
‘洗脳選挙:選んだつもりが選ばされていた’にこう書いてあるそうだ。

人の印象は目からの情報によってほとんど決まってしまう。人の印象を決めるのは、服装や身体の動きといった目からの情報が55%、声の調子や話し方が38%、話の中身が7%である。要するに、演説内容よりも外見が大切なのだ。だから、候補者には歩き方まで直してもらう必要がある。候補者は自分の十八番の演説をすればいい。街頭演説は、とにかく十八番を絶対に歌い続けること。演説の中身は関係ない。


民主党をはじめとする野党は‘小泉に騙されるな’‘小泉催眠術’と声高に叫ぶから
かえって反感を買った。

人間誰だって‘自分が洗脳されている’なんて認めたくないから
‘冗談じゃないわよ’と言う事になり、普段は行かない投票に出かける。

これで自民党内は完璧な‘ガキのサッカー’状態だ。
そもそも新人議員の中には、サッカーそのものを全く経験した事の無い連中も一杯いるし。

参議院で否決されても、衆議院で再可決できるから、参議院は完全なお飾り状態になる。

ただ考えようによっては‘ガキのサッカー’の中心にいるのは、他ならぬ小泉さんな訳で
彼がかつて国会議員永年在職(25年)表彰を辞退したような、
いい意味での変人振りを発揮すれば、それはそれでいい方向に進む可能性もある訳だ。

有権者はその辺を、今後も十分にウオッチするべきである。

まあ、2002年のWカップの俄かファンみたいなもんで、4年間持続するとは思えないけどね。

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