2005年3月11日金曜日

そんな曖昧な冬

そんな曖昧な冬


40年前の冬は
一旦冬を演じると
徹底的に冬を演じていた

根雪と言う言葉通り
一度冬で覆ったら容赦なかった

だから春になって道の両側や日陰に
汚らしく残った潔くない雪を横目に
土埃がたつ道を自転車で快走する
それがボクの春の実感だった

冬の間
物置の中で冬眠を余儀なくされていた自転車も
心なしか浮かれていたのだ
進級、クラス替え、先生の異動、そして進学と
常に春は新たな環境のスタートと共にやってきた
だから春は必ず心が躍った

地球が暖かくなったのか
社会整備が冬の駆逐に腐心しているせいか
最近の冬は寒くもなく
雪も直ぐに退治される

そんな曖昧な冬のせいで
過ごし易くなったのかもしれないが
春への渇望も曖昧になった

環境の変化も無く
別れも無く新たな出会いも無い春がやってくる

すっかり弱っている心臓には
少し優しい温かみがせめてもの救いだ

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