2005年3月21日月曜日

地震ヴァージン

昨日、九州北部でマグニチュード7、最大震度6弱の地震があった。
このエリアは謂わば、地震大国日本にあって、地震空白地帯であったとのこと。
歴史的に遡っても、300年前に記録があるだけだ。
被害者には気の毒だが、それでも地震の規模の割には被害が少なかったというのが実感だ。
生まれて初めての大きな地震を体験しパニックに陥った人達も多かったかも知れないが、
日本人であれば、他の地域での過去の地震報道等を通じて地震そのものに対する知識はあったと思う。
当局の対応も日頃の訓練のお陰か円滑だったように感じた。

日本人であれば、程度の差こそあれ何らかの形で地震経験があるだろう。
乱暴な言い方だが、日本人にとって地震は‘既知のリスク’なのである。

ところが、世界中には地震と全く縁の無い人々もいる。

本店から派遣されていた、あるスイス人ディーラーがいた。
一応、組織的には私の部下であったが、スイスフランに関しては自分の方が知っているという
自負のせいか、余り言うことをきかないタイプだった。
が、或る日、仕事中に地震が起きた。
震度にすれば3か4でたいしたことは無かったが、彼の顔面は文字通り蒼白。
普段の勢いを完全に失い、
「気分が優れないので早退したい」と申し出てきた。

知り合いのシンガポール人2人も宿泊していた帝国ホテルのツインルームで早朝地震に遭い、
気色悪く男二人で床で抱き合ってしまったらしい。
その後、眠ろうとしても眠れなかっと嘆いていた。

彼らにとっては、地震は‘未知のリスク’であり、その分恐怖が何倍にも増幅される。
特に、あの揺れがいつ終るのか分からず、いつまでも続くものだと思ってしまうらしい。

シンガポールの高層ビルは地震が無い事を前提に建築されている。
それでも、最近の建物はそれなりの強度があるだろう。
見ていて怖いのはHDBという政府が供給し、大多数の国民が住んでいる公団住宅だ。
1階部分を駐車場スペースにあてるために、建物の2階以降はタカアシガニのようなか細い柱に
支えられているだけだ。

我々日本人の感覚では見ているだけで恐ろしい。

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