2005年11月3日木曜日

外国為替証拠金取引に嵌っている‘虚業家’?~ポジション張っても命は張るな~

昨日の記事を書いた後、グリーンスパンでブログ検索を行ってみたが、そこで気付いたのは、
世の中に外国為替証拠金取引に嵌っている人々が結構居るという事だ。

正直、記事の内容にもバラつきがあり、きちんと勉強している風情の人も居れば、
FRBもFF金利も何もわかっちゃ居ないという感じの人も居た。

個人が株式取引を行うことは極普通のことだが、
FX取引は長い間外為法の規制下にあったせいか馴染まない。

私が現役ディーラーだった頃、友人や知人によく浴びた質問がある。

‘今後の為替見通しは、どうですか’

特に異業種の人達との会話では頻繁に交わされた。
そりゃそうだ、自分もそうだが相手の専門分野について質問するのはある種の‘礼儀’とも言える。

でも、相手の‘礼儀’に対して、私の答えはいささか‘無礼’だった。

‘いやぁ、それが判る位なら銀行でディーラーなんてやってませんよ。
個人でやってますよ’

実際、客の取引の絡まない純粋な‘スペキュレーション’だけで、年間ン億円稼ぐ。
何十億も稼ぎ出すディーラー達も居る。

彼等が手にするのは、そのうちの何パーセントのインセンティヴ・ボーナスだ。

当時でも、日本では規制下にあったが、海外の銀行を使えば、
個人でも‘マージン取引’という形で取引する事は可能だった。

でも私には個人のアカウントで取引するガッツはなかった。

‘相場なんてあんな恐いもの、他人のアカウントでしかやれませんよ’

ディーラーに相場見通しを訊くのも、ろくな事ではない。

朝一番には‘どう考えても買いだろう’と言っていた奴が
昼には‘売るしかない’とやっているのがディーラーの本性だ。

ディーラー達の言う、短期的見通しとは‘1日’のことであり、中期的でも‘2~3日’、
長期的で‘1週間’と言ったところだろうか。

逆に、常にそうやって売り材料、買い材料に柔軟に反応するのが資質のひとつかも・・・。

金利に関しての相場は、見方を間違えなければ、比較的安心してポジションをキャリーできるが、
為替は日足に現れない折れ線の動きがあり、そこが面倒だ。

それでも、近年は相場の幅や動きは昔に較べればおとなしい。

20年前には、例のプラザ合意があり、10年前には79円75銭の円高があった。
下が5の年はなんかありやと思いきや、2005年の今年は何も無いのか、これからあるか。

昔は情報ベンダーに信じられない高額の料金を払って、各種の情報を買っていたが、
いまやネットでかなりの情報が無料で入手できる。

そういう意味でも、個人が為替取引をする環境は整っているかも知れないが、
一方で色々な問題もある。

当局もそれなりに、法整備をしているにも拘らず、悪徳、悪質業者が蔓延る。

連中の甘いトークにのせられて、安易にリスクを取っている人々も多そうだ。

レヴァレッジの効いている分、実際の自分の現物資産と抱えているリスクの違いを実感できずに、
失敗する人も居るだろう。

負けを取り戻そうと、次第にポジションが大きくなる人も居るだろう。
そして、最後には・・・

‘ポジション張っても、命は張るな’

この前、ニュースで‘りんご(ふじ)が1万4千個盗まれた’というのをやっていた。
そして、その被害額が100万円と聞いた瞬間、妙な感情に襲われた。

何ヶ月に渡り丹精込めたりんご農家は勿論、1万4千個のりんごをつるが取れないように
(取れると商品価値が無くなるらしい)盗んだ泥棒さえも、ある意味‘実業’だ。

その実業の価値が100万円。

株やFXの個人トレイダーがうまくやれば1日で100万稼げるかもしれない事が、
なんとなく‘虚業’に見えてしまう。

自分がディーリングで20年間メシを喰ってきたのに変な感じだが、
病気と加齢のせいで枯れてしまったのだろうか。

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