2005年6月7日火曜日

‘物価の優等生’に惑わされてはいけない~ナリポンの‘卵史’~

‘物価の優等生’といえば何?
と街頭で訊ねたら、一番多い答えは当然ながら‘卵’だろう。

確かに私の生まれた1955年当時でも1個12円とかしていたらしい。
米は10キロで850円だったそうだ。
あと何故かよく例に出されるのが、散髪料金で、当時150円。

上昇してないのが優等生で下落したのはどうなのよ。
カラーテレビやビデオレコーダー、電子レンジなんか発売時は平気で30万円していたのが
いまや数万で買えるんだけど、こう言うのは‘超優等生’とか言わないのかね、
と突っ込みたくなるが、今日の話題は飽くまでも、卵だ。

日本人が卵を食べ始めたのは、江戸時代だそうだ。
卵は完全栄養食と言われるが、‘強壮’のイメージもあり、吉原ではゆで卵を売る行商がいて、
男達は、ゆで卵を喰ってから‘入郭’したらしい。(←そんな即効性あるの?)

ガキの頃、遠足といえばゆで卵が定番だったし、汽車に乗れば、冷凍みかんとゆで卵を買うのが
旅情を盛り上げる‘王道’だった。

そういえば、昔深夜テレビで観た日本映画(←題名不明)でこんなシーンがあった。
加山雄三が卵を畳の上にこぼしてしまい、母親?が古ハガキを使って掬うというものだ。
それだけ貴重品だったのであろう。

で、ナリポンの‘卵史’はどうか。
親と住んでいた時も、一人暮らしの学生時代も買っていた卵は1パック98円が基本。
銀行に入った時は独身寮暮らし、結婚直後にはシンガポール赴任。
5年後に帰国してからも、妻は100円前後の卵をスーパーで買っていたと思う。

ところが、或る時、友人に誘われ千葉のゴルフ場(浜野G.C.)に行った。
友人に‘ここの売店で売っている卵はイケるよ’と奨められ、1箱30個入り2100円を購入。

で、その卵が、美味いのなんのって・・・。
目から鱗、口からヒヨコだ(←なんのこっちゃ)

今でこそ、厳選素材として、箸でつかめる卵とか紹介しているが、当時の私(1989年?)には、
見た目も味も衝撃的だった。

いままで、なんでこんな身近な食材を、ないがしろにしてきたんだろう。

理由は簡単だ、近所のスーパーでは売ってなかったからだ。

その卵が無くなると、妻はデパ地下での卵探しを始めた。
1個50円程度の卵を試すが、‘浜野の卵’には及ばない。

そこで、浜野は遠かったが、‘卵目的のゴルフ’をアレンジしてもらったものだ。

そもそも友人の遠縁がメンバーだったのだが、その後、会員権を売却(800万⇒4000万?)
プロのディーラーも真っ青なグッド・ディールだが、お陰で、卵のルートは断たれた。

ただ、もうナリポン家は1パック98円の卵には戻れなくなっていた。

その後、街のスーパーにも所謂‘特殊卵’が並ぶようになった。
1個30円~50円。

一生のうちに人間は、何個の卵を食べるのだろうか。
いづれにしても極めて利用度の高い食材であることは間違いない。

その昔、家でミネラルウォーターを使う生活なんて考えられなかった。
それが今では、カップ麺ですらミネラルウォーターを使う人がいる。

それなのに、‘物価の優等生’と言う響きや、スーパーの新鮮味のない
戦略に嵌って、1パック98円の固定観念を棄てきれず、
安くて美味しくない卵を食べ続ける人生は
如何なものか。(←おいおい、そこまで言うか)

我が家は穢土を離れた後は、当地で1個30円程度の卵を愛用している。
別に悪くはないが、あの‘浜野の卵’に較べると明らかに落ちる。

ところで、英語はまったく問題ないが、仏、伊、西だと、どうも卵の発音が覚束ない(うふ)

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