耐震強度が偽装された‘恐怖マンション’に公的な支援が行われることが決まった。
‘もし、今地震が起きて居住者及び周辺住民の生命の安全が損なわれたらどうする’
と言う危機感にたてば、誰もが‘生命・安全の確保が最優先’だとする意見に対して
‘YES’としか言いようがない。
その点から言えば、政府が異例のスピードで支援策を発表したことは称賛されるべきであろう。
しかし、当事者でもない私にとっては、いろいろな意味で違和感がある。
話題はやや飛ぶが、去年の春先、マスコミをにぎわせた言葉があった。
2004年の新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれたが、何だか思い出せるかな。
‘自己責任’だ。
イラクで人質になった3人の日本人に対して、否定的な意味で使われた。
政府の勧告を無視して、イラク入りしていたのだから、自業自得だとし、
彼らを救出するために国が多額のコストをかけることに疑問を投げかける世論が台頭していた。
その後、ややその動き自体を反省する動きもあったが‘自己責任’と言う言葉は、
一般的にも世間でよく使われていた。
そういう意味では、もしあの頃、今回の事件が発覚していたら、世論も微妙に違っていただろう。
恐らく、今回の被害者は100%被害者なのだろうが、
基本的には相場より、恐ろしく安い物件を買った者の‘自己責任’はどうなるんだ。
‘安物買いの銭失いの典型だよ’と言われてお終いだったかも知れない。
実際今回の公的支援が発表になってからは、そういう議論になりやすい。
一部居住者の発言には、被害者意識が強烈すぎて、
‘おまえ、少しは我慢しろよな’という気分にさせるものもある。
‘生命の安全’を文字通り‘人質’にして過剰な要求を続ければ、世間は離れるし白ける。
世論は命の危機には同情するが、経済的な損失については色々な見方をするだろう。
対象にならなかった物件の持ち主からすれば、不公平感の議論も噴出するだろうし、
そもそも、天災でもないのにこういう支援がされるのは異例なのだから、
他の納税者から見れば納得できないと感じる人も多いに違いない。
張本人である業者への責任追及が甘いのも気に入らない。
支援策では、取り敢えず国や自治体が出費し、後で業者に請求するといっているが、
その支払い能力に疑問が残るから、結局は税金を使うことになる可能性が高いだろう。
すると、逃げ回っているヤクザな小嶋(敬称・蔑称略)のケツを拭くのに公的資金投入という
最悪の構図になってしまう。
国交省が迅速に動いたのは、自らの監督責任への追及をかわす意味もあるとする向きもある。
そうでなくても‘官から民へ’をウリにしている小泉政権としては大問題だ。
公的資金を投入するということは、官としての監督責任を認めているということになるが、
関係者の処分等の話は一切出てきていないのも納得がいかない。
加えて、この支援策でもっとも恐れるのは‘後遺症’だ。
今後更なる広がりをみせて、80億なんて桁では済まなくなるのではないか。
‘前例’を作ったことにより、今後発覚する同様の物件に対しても‘例外’とは
言えなくなるだろうし、‘何故マンションだけなんだ’という声も高まるだろう。
いや、違法建築だけではなく、監督官庁の責任を問えるような様々なケースで、
政府の支援を当てにする風潮が助長されるかも知れない。
財政再建こそ緊急の課題と言いながら、こんな事をしていたら、
益々安易な増税に拍車をかけるだけではないか。
北側国交相は公明党所属だ。
公明党と言えば、日本のみならず、欧米からも‘世紀の愚策’と叩かれまくった
‘地域振興券’で、7000億円をバラまいた‘前科’がある。
弱者に優しくしたがるのはわかるが、現状、日本で最大の弱者は‘日本’そのものだよ(笑)
2005年12月7日水曜日
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