‘公’はともかく‘私’の方では、飲み放題の料金設定だと幹事も安心だろう。
私も、若くて元気な頃はこの‘飲み放題’と言う響きには、惹かれたものだ。
それが、病気をして歳も取ってくると、さっぱり魅力を感じない。
理由は簡単だ、元をとれなくなったからだ。
食べ放題はともかく、飲み放題では、我ら夫婦は数々の武勇伝を持っている。
なにしろ、平気でビール大瓶10本はやっつけていたから、
‘ボーリング・カップル’と呼ばれていた。
それ以上飲めるのだが、肉体的な理由ではなく、むしろ経済的な理由でストップをかけていた。
武勇伝の中でも、最も印象に残っているのは、シンガポール在住時代の話だ。
日本人が経営するKOBEという、すき焼き、しゃぶしゃぶ屋があった。
年に何回か、生ビールの飲み放題のキャンペーンをおこなっていた。
1杯分を払えば(約500円)何杯飲んでもOKという奴だった。
キャンペーン期間は週末に始まり、翌週末までの9日間だったが、
平日は仕事があるのでノーチャンスだ。
そのかわり、週末は2週続けて通った。
で、ある時、土曜日に出かけ、翌週の土曜日も出かけた。
それはいつものパターンなのだが、その時はキャンペーン最後の日曜日にまた出かけたのだ。
理由は簡単だ。
家で飲むより安いからだ・・・(^_^)
勿論、ビールだけを注文することはできない。
しゃぶしゃぶかすき焼きを注文しなくてはならない。
神戸牛を使ったコースは、4000円くらいしたが、NZビーフだと1200円のコースがあった。
我々はいつも、このNZを頼んでいた。
しゃぶしゃぶだと流石に1人前の肉は少ないので、肉は追加注文する。
で、その日も追加のNZを2人分追加した。
届いた肉の一部を鍋に入れた時に、日本人の主人が慌てて走ってきた。
鍋の肉を見ながら
‘あの~、ご注文頂いたのは、ニュージーランド牛ですが、
こちらの手違いで神戸牛をお出ししてしまいました。
どうぞ、味の違いを較べてください。お代は勿論8ドルで結構です’
‘えっ、そうなんですか、ラッキー’
さらに、主人の淋しげな後ろ姿に向かって、妻が叫んだ。
‘すいませ~ん、あとビールのお代わり2杯お願いします’
まるで、死者に鞭打つような強烈な一発だった・・・(-_-;)
1回行くと、ふたり合計で大体ビールは40杯くらいやっつけていた。
すると、この日の決算(当時の1シンガポールドル=100円で計算)は・・・
支払ったお金
ビール代 1000円
しゃぶしゃぶ 2400円
追加の肉代 1600円
合計支払額 5000円
メニュー上のお値段
ビール代 20000円
しゃぶしゃぶ 2400円
追加の肉代 7200円
合計金額 29600円
差額 24600円
我ら夫婦の姿をみると‘総会屋’に睨まれたみたいな感じの主人が、
‘連日の攻撃’を受けて、金縛り状態になって、牛肉まで間違えてしまったのかも・・・(-_-;)
なんか、いまこうして書いてみると、若かったせいか我ながら‘無粋’だね。
それが最後だったかどうかは判然としないが、そのうちビールのキャンペーンは止めてしまった。
今の私はビールは500ccがいいところだから、飲み放題なんて絶対元が取れない。
食べ放題は、学生の頃は、980円で焼肉(接着剤肉使用?)とか食べていたが、
そもそも余り好きではなかった。
いやしいから、どうしてもたくさん食べようとしてしまい、それほど美味くもないものを
無理に胃袋に入れるのは、寧ろ苦痛だ。
そもそも、ナリポンの基本は‘暴飲小食’だったのだ。
大好きだったのは、ホテル等での朝食ブッフェだ。
特にスキーで泊まるときは、カロリーの摂取も必要だから、洋食バージョンの後に
和食バージョンを食べ直したり、普段食べないヨーグルトまで食べたりしたものだ。
他では値段は張るが、ホテルの中華料理店がやっていた、
通常メニューからオーダーできるのは悪くないと思った。
フカひれと北京ダックを頼めば、先ず簡単に‘回収’できるから気分が楽だ。
ただ、今はとにかく、食が細くなったので(その割りに身体は太いままだが・・・(-_-;))、
食べ放題には惹かれない。
食べたい物をピンポイントで狙う方がいい。
‘飲む’‘食べる’もそうだが、そもそも○○放題をエンジョイするには、
それに充分な‘能力’が必要なのだ。
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