2005年10月14日金曜日

‘振り返りますれば’31年前の今日、長嶋茂雄現役引退に日本中が泣いた~最終打席はトマトジュース~

いまから31年前の今日、長嶋茂雄が現役を引退した。

当時学生だった私は、4畳半共同トイレの西日が強烈な部屋で、
室内アンテナの向きを調整しながらテレビを観ていた。

前にも書いたが、私が一番泣いたのは、例の最後のスピーチではない。

ダブルヘッダーの第一試合が終った後、
長嶋が外野スタンドのファンの為に、球場を一周するシーンだ。

テレビの実況が、
‘長嶋が泣いています、スタンドが泣いています。’
と語りながら、終には、自分の実況が涙声になってしまう。

プロのアナとしては失格なのだろうが、我慢できずに涙声になってしまうところが
逆にこちらの涙も誘った。

数日前に、NHKで特番をやっていたが、あのグラウンド一周は、
長嶋自身の強い希望だったそうだ。
最初は警備上の問題から却下されていたそうだが、当日になって長嶋と広報担当で‘強行突破’

同番組内で紹介されていた別の逸話としては、長嶋がまさに最終打席に立った時に、
主審が相手のキャッチャーに‘おまえ、わかってるな’の一言。
相手キャッチャーも‘わかってます’と答えたそうだ。

但し、ピッチャーが逆に緊張してしまい、ボールを指に引っ掛けてしまい、
その結果内角の厳しいボールになってしまった。

さて、ここでチョットしたトリヴィアだが・・・
当時の後楽園球場の巨人戦、ランナーが詰まった状況で長嶋が打席に立つと、
相手チームのファンから野次が飛んだ。
‘トマトジュース!’

さすがにこの引退試合の最終打席では、この野次は飛ばなかったと思うが・・・

この野次が意味するのは?

実はあの当時、ダブルプレイをしたチームにカゴメから賞品として
トマトジュースが贈られていたのだ。

長嶋といえばここ一番のチャンスに強い、今で言えばクラッチ・ヒッターというイメージが強く、
実際そうだったからこそ多くのファンの心を捉えたのだが、一方で、併殺打の数も多かった。

17シーズンの内、5回も‘併殺打王’に輝き(笑)、通算でも歴代4位だ。

だから、最終打席でショートゴロを打ち、シーズン18個目の併殺打に倒れたのも、
長嶋らしいと言えば長嶋らしい。

あの感動から26年後、私は心筋梗塞、その4年後には長嶋が脳梗塞に襲われた。

いまやふたりは、薬のせいで納豆を食えない事を嘆く‘ワーファリン仲間’だ。

これまた以前書いたことだが、
これだけの国民的なヒーローに国民栄誉賞を与えるのは、
やはり亡くなった時なのだろうか

まあ、時の政権の気まぐれで決められる賞に、殊更、価値を認める必要も無いのだろうが、
長嶋茂雄ほど、あの賞にふさわしい存在はないと思うのだが・・・

どうせなら、受賞をして喜ぶ長嶋茂雄を目にしたいじゃないか。
これだけのグッド・リーズンがありながら、その‘きっかけ’が訃報以外には
ないと言うのは、あまりにも悲しすぎないか。

昨年、イチローの最多安打記録の時に、国民栄誉賞を与えてはという話が出たが、
記録でしか授賞の基準を判断できないのだろうか。

昨年逝った私の父親のように、長嶋をこよなく愛した世代が元気なうちに
是非実現して欲しいような気がする。

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