‘ヒデキ・マツイがファーストゴロに倒れた瞬間、トーリ監督は崖っぷちに立たされ、
キャッシュマンGMは崖から投げ出された’
ヤンキースが地区シリーズに敗れた時のメディアは、こんな感じの記事を書きまくっていた。
単なる表現方法の問題とは言え、これじゃぁ、まるで松井ひとりが二人の将来を
混乱させているようなニュアンスがあり、読んでいて不愉快だった。
今年の10月末で契約が切れるキャッシュマンはクラブハウスで号泣したと伝えられ、
再契約はなさそうだと思った。
トーリは残存2年、13.1M米ドルの契約が有効で、なんだかんだ言っても、
続投するだろうと踏んでいた。
しかし、試合後のオーナーのコメントには相手チームのソーシア監督を称える文言はあったが、
シーズンを終えたトーリやスタッフに関してはなんの言及もなかった。
そして、コメントの最後はWe will do better.
‘Weって誰だよ’
契約を1年残していながら、タンパの監督を辞めたピネラの存在も含めて考えると、
突然、トーリの去就が微妙に感じられ、マスコミ各社も‘続投無し’の観測記事を垂れ流した。
週末にむけて予想されていた、シーズン回顧の記者会見も開かれず、
一層と混沌としたムードになっていた。
トーリは相当悩んだらしい。
奥さんも、居間のテレビのチャンネルが野球(LCS)でなく、ゴルフになっているのに気付き、
トーリにこう言ったそうだ。
‘わたしが心配なのはあなたの健康だけよ、
そのためにはストレスをどうするかが肝心よ’
結局、彼はヤンキースの監督をすることが、
そこで生じるストレス以上に魅力的だと思った。
そして、週が明けて、トーリはスタインブレナーのいるタンパへ飛んだ。
同じジェットで飛んだ球団社長のレヴィンに機内で、既に続投の言質をもらっていながらも、
トーリとしては現地へ行って、オーナーと直接話したかった。
そこで、来シーズンの続投の要請が正式にあった。
思えば、8月9日、あの糞エンブリーがCWSのコネルコにHRを打たれたのが、
二人の関係悪化のきっかけだった。
私は個人的に、トーリ監督は好きだし、松井との関係でもトーリはいいと思う。
トーリは‘野球哲学者’、ピネラは‘野球策士’といった印象だろうか・・・。
しかし、今回はなんとなく‘大人の決着’をつけたが、ふたりの溝は埋められていないと思う。
オーナーはヤンキースが8年連続で少なくとも地区優勝を果たしているが、
これは監督の手腕ではなく、自分が投じた大量のキャッシュのおかげだと思っている。
ここ5年間で約10億ドル(1150億円)遣っていながら、ワールドシリーズを逃し続けているのは、
監督のせいだと思っている。
今回の続投だって、黙って高いギャラをドブに棄てるのが惜しかったのと、
トーリの相変わらずの高い人気に配慮してだろう。
トーリとしても、あんな気難しいオーナーと付き合うのには、ヘトヘトになっている筈だ。
あの、エンブリー事件が起きる前の7月、オーナーの誕生日に
お祝いの電話をかけたが直ぐに切られたそうだ。
来年はもっとコミュニケーションを密にすると言っているが、そう簡単ではあるまい。
しかし、その溝を埋める方法はひとつだけある。
‘ワールドチャンピオンになれば一挙に解決だ’
トーリは補強に関して、センターとミドル・リリーフを掲げている。
先発投手は現有のままで良しとしている。
加えて、バーニーにもリザーブとして再契約を望んでいる。
センターは、デーモンやハンターを狙っているが、失敗した時は松井をセンターに
持ってくることも考えている。
松井が再契約するかどうかは一応未定だが、間違いないだろう。
因みに、ニューヨークポストのアンケートは面白い。
MATSUI Keep Him85.6% Fire Him14.4%
TORRE Keep Him82.3% Fire Him17.7%
チーム編成を決めるGMだが、崖から蹴落とされた筈のキャッシュマンに
再び3年契約のオファーをしたらしい。
逆に、クビを前提に次のポジションを探していた彼の方が即答せずに保留している。
あのオーナーと付き合うストレスから解放されると一旦思ってしまったら、
再び気持ちを奮い立たせるのにはチョッと時間が要るのかも知れない(笑)
2005年10月19日水曜日
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