2005年10月23日日曜日

‘1冠馬’ミスターシービーを見て逝った寺山修司が三冠馬ディープインパクトを語ったら・・・

ボクは自分の職業をきかれると、寺山修司と答えていた訳だけど、
それはそれで自分が自分であるためには、みんなにはわからないような葛藤があった訳で・・・

ボクが初めて短歌を作ったり、その後も、色々な実験的な試みをしたりする訳だけど、
そこでいつも考えたのが、どれだけ多くの人に理解されるというよりは、
どれだけ多くの人に衝撃を与えられるかというのが最大の命題で・・・

そういう意味では、ボクが自分の作品で追求していたのは、
‘ディープインパクト’ということになるかもしれない。

ボクが最後に見た競馬は、ミスターシービーの皐月賞だった。
鞍上は吉永正人、彼の生き方そのものと同様に極端でどこか孤独な騎乗方法が好きだった。
その吉永がミスターシービーで、ようやく一流の仲間入りを果たした。
ボクはあの馬の1冠しか確認していないけど、三冠に相応しい馬と人であることは信じていた。

ただ不運だったのは、次の年には、無敗の三冠馬シンボルルドルフなんて凄い馬が出てきて、
おまけに屋根は岡部ときた。

直接対決でも負け、シンザン以来19年振りの三冠馬ともてはやされたのもほんの束の間、
ハプスブルク家出身の皇帝、シンボルルドルフの強さに霞んでしまった。

まるで霞ヶ関の、次官争いで1年下の後輩に、凄い奴がいるような感じ。

あれから21年たって、また無敗の三冠馬候補が出現したと聞いて、
こうして娑婆に戻ってきてみた訳だが・・・

ボクの口癖は
‘ファンは馬券の名を借りて自分を買うのである’

ボクも自分の求めたディープなインパクトのある作品にあやかって、
是非買ってみたいと思ったが、三途の川を渡るときに小銭もぜんぶ巻き上げられた。

単勝のオッズが100円か110円という馬券を買う人々は、
儲けようなどと考えてはいないはずだ。
自分が人間として強い人も、弱い人も、この無敗の馬が無敵の馬であり続ける瞬間を
自分も共有したいだけなのだ。

俺は冴えないサラリーマン
生まれて初めて買ったのは、ハルウララの単勝100円
きっちり負けたが納得だ

俺は冴えないサラリーマン
2度目に買ったのは、ディープインパクトの単勝1000円
1円も増えなかったが納得だ

俺は冴えないサラリーマン
ネットで馬券を買えるのは便利だが
手に汗と馬券を握り締めてこそ醍醐味だ


ボクが最後まで寺山修司でありえたように、
ディープインパクトが最後までディープインパクトであり続けるには
無敗を続けるしかないのか。

世界の涯まで連れてって
世界の涯まで連れてって

負けることでしかディープなインパクトを与えられない運命を背負って走るのか。

~100年たったらその意味分かる 100年たったら戻っておいで~

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