共通点は、ふたつとも、美しく歳を重ねた女性を主役にしているところだ。
ひとつは、フジフイルムのオノ・ヨーコだ。
BGMにはジョン・レノンのイマジンを使っている。
彼女とジョンの昔の写真を次々と映し出しながら、極めてシンプルなコピーだ。
PHOTO IS LOVE.(写真は愛)
PHOTO IS YOU.(写真はあなた)
PHOTO IS MESSAGE.(写真はメッセージ)
PHOTO IS MEMORY.(写真は思い出)
PHOTO IS SMILE.(写真は笑顔)
PHOTO IS PEACE.(写真は平和)
PHOTO IS
勿論、曲も良いし、存在感たっぷりの彼女のおかげもあるが、このシンプルさは魅力だ。
フジフイルムといえば、もう何十年にわたって樹木希林を使った面白CMがあるが、
あれはあれでいいが、こっちはぺペロンチーノというか、もりそばというか、
簡素ならではの奥深い味わいがある。
ここにいくと、CMが見られる。
もうひとつは、もしかしたら全国で放送はされてない可能性があるが、
オードリー・ヘップバーンを起用したユーリーグという耳慣れない会社のCMだ。
まずは、テレビではみられないロングヴァージョンのCMを見てください。
(オードリー・ヘップバーン篇をクリック)
どう、悪くないでしょ。
ナレーターは森光子さんだ。
59歳のその人は、
素顔のままで自らのその先の時間を
飢えた子供たちに捧げたのでした。
その子たちは、
その人がかつての世界のヒロインとも知らず、
澄んだ瞳で見つめ返すのでした。
さあ、勇気を出してあなたもご一緒に美しい歳を重ねませんか。
オードリーの姿は、若い頃のスティル写真が1枚あるだけで、他はすべて59歳以降のものだ。
それは、この広告主の商品が50代以上の人間をターゲットにしているから当然なのだが、
皺だらけの彼女を全面に出す‘勇気’は今まであまりお目にかかったことが無い。
その昔オードリーの晩年、スイスの自宅の庭で、ほうきを持って掃除している姿を
写真週刊誌がスクープした。
タイトルは確か‘魔法使いのおばあさん’ってな感じだった筈だ。
確かにその写真の彼女は老いていたし、やせ細っていた。
悪意に満ちた記事を読みながら‘消火器’を持って出版社に乗り込もうかと思ったほどだ(笑)
私はオードリー・ヘップバーンのビッグ・ファンだった。
というか、これだけ広範囲の世代に支持された女優も少ないのでないか。
ローマに行っても‘ローマの休日’巡りをする人は多いだろうが、私も素直に楽しんだ。
頭の中には、やはりあの美しいプリンセスの姿を描いてしまう。
しかし、このCMを見ながら、改めて彼女の美しさを感じてしまった。
59歳になって、ユニセフの活動を‘人生の最終章でもらったボーナス’として熱心に行った
心の美しさのせいなのかも知れない。
美しく歳を重ねる人達は羨ましい。